韓国メディアは期待できるか --- 井本 省吾

アゴラ

昨日の続きで、今回は産経新聞の名物コラムニスト、黒田勝弘氏(ソウル駐在客員論説委員)が1月11日に書いた<韓国メディアは「日韓協力の真実」伝えよ>を取り上げる。

黒田氏は、韓国メディアが駐日ドラゴンズの山本昌投手を「50歳でも現役で活躍している」として大きく取り上げるなど、韓国人は今も日本のことが気になっていると書く。また日本同様、高齢化社会を迎えつつある韓国は中高年者の生き方を何かと参考にしていると分析する。


<これが反日一辺倒と思われている韓国での一方の日常風景である。……韓国社会は日本のことが気になって仕方ないほど日本に関心が強く、日本への強い親近感(いや接近感か?)がある>

にもかかわらず、世論調査となると韓国人は「(日本に)親しみを感じる」とは決して言わない。なぜか。黒田氏は「言わないというより、言えないないのだ」と見る。そして、この「実態を離れた不健全さ」の原因は「韓国メディアの責任が大きい」と指摘する。韓国メディアは日本の政治外交で気に入らない点があれば、大々的に批判、非難する反日報道を展開し、世論を扇動する。

で、韓国の一般庶民も表立っては日本に親しみを感ずるなどとは言えなくなり、「昼は反日、夜は親日」(黒田著「韓国 反日感情の正体=角川oneテーマ1)という態度になってしまう。「親日」は影でこっそりというわけなのだ。

まったくその通りだが、私は韓国メディアだけに反日の原因があるとは思えない。黒田氏も同書の中で分析しているように、多くの韓国人には「日本などという中華文明から遠い国、自分たちが文化を教えてやった野蛮な国に支配されたことが口惜しい」という気持ちがある。

その気持ちは特に学歴や社会的地位が高く、発言力も強い支配層、知識人層に多く、当然メディアも含まれる。儒教国家の韓国で庶民はその縛りから逃れられない。

韓国の国力の増大とともに、「日本を凌駕したい」「屈服させたい」という思いが日増しに強くなり、反日色が強まった。

2005年に「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法(親日法)」という法律が成立したのはその結果だろう。同法は親日であった反民族行為者の財産を国家が没収するる、というトンデモナイ法律である。

長年、韓国に住み、韓国の良さを知っている黒田氏は日韓の実のある交流を広めたい、深めたいと願っている。そこで、日韓国交正常化50周年を期に、「50年間の日本との協力関係が韓国の発展にプラスした」という客観的な史実を韓国メディアが伝えることが大事だと説く。

まったく異論はない。だが、黒田氏自身が一番良くわかっているように、韓国メディアがそうする可能性は小さく、期待しがたい。彼らに「日本を屈服させたい」という「ハン」の気持ちを解かせるのは容易ではないだろう。

以前、このブログで書いたように、韓国人の多く(特に支配層・知識層)は日本の一挙手一投足にこだわり、敏感に反応する「対日ストーカー」なのである。こういう国とは深入りせず、付き合いは極力「淡き交わり」に徹した方が良い。


編集部より:この記事は井本省吾氏のブログ「鎌倉橋残日録 ~ 井本省吾のOB記者日誌」2015年1月12日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった井本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は鎌倉橋残日録 ~ 井本省吾のOB記者日誌をご覧ください。