石油価格、円安、長期金利……読めないことばかり --- 岡本 裕明

2015年01月15日 23:51

今年は当ブログの「年初の予想」を通じて市場予想を書くのを止めていました。例年、今年の株価や為替についてある程度のピクチャーを持ったうえで予想を書かせていただいていたのですが、なぜ、今回それを止めたか、といえば市場が読めないからなのです。


12月、日本の株式市場では日経平均が18000円にもうすぐ届くところになり、関係者からは20000円はおろか、22000円などという強気の声も聞かれていました。ところが年末、「掉尾の一振」は空振り三振となり、嫌な予感を残したまま年を越したところ、アメリカの株式市場と共にずるずると下げ続け、その傾向は止まりません。チャート的にみると今日15日の動きは今後を占うにあたり、一つの節目になるかもしれません。

私ごときに市場が読めるわけがないじゃないか、と言われればそれまでですが、投資家とは皆が同じレベルにいるわけではなく、それぞれの情報ソースとそれを読みぬく能力、更に経験と成熟度、あとは運で勝負します。一部のプロしか勝てない相場があっても今の市場規模を操作することは出来ません。スキーは下り坂がなければ滑らないのと同じです。結局は世界経済や動向を見ながら大局を判断せざるを得ないのです。

そこに立ち返ると私はずっと一つの疑問を持ちながらこのブログを書き続けてきていました。それは

アメリカが一国だけ勝ち抜けることはあるのだろうか

であります。昨今の経済ニュースを俯瞰すれば欧州はもとより中国の成長低下、新興国の低インフレと低成長、産油国の経済不振(カナダやオーストラリアなど先進国も含む)、そして日本も「更なるカンフル剤を」と外国からも要求されるほどプラン通りに事が運んでいません。そんな中、いくらシェールが出たとしても、あるいは、いくら基軸通貨のドルがアメリカに回帰したとしても辻褄が合わないのであります。

そこにサウジアラビアを主体とするOPECが石油減産をしない、と表明したことが圧倒的な番狂わせとなりました。今だ同国は強気一辺倒ですが、その経済的意味をはき違えていると気がつくまでさほど遠くはないと信じています。ただ、ここにきて銅を含め商品相場全般に大幅な軟調(金を除く)となっていることは大いに懸念すべき事態でしょう。コストが安くなるから日本経済にはプラスという専門家の意見もありますが、それは木を見て森を見ず、であります。

円相場は116円台に突っかけてきましたが、これは健全な流れであるとみるべきでしょう。日本の物価が海外から見てそこまで安くなる理由は見当たりません。国債が暴落するから円安が止まらないと主張する向きもありますが、それでは為替は国債価格だけが決め手なのか、という事になります。幸いにして昨日発表された15年度の予算は基礎収支の赤字が2010年度に比べ半減しています。財務収支の改善、更に2020年目標の基礎的財政収支のバランスにはまだ遠いのですが、税収の増加に伴い改善が進んだというのはまずはプラスの評価だと思うのです。

確実に言えるのは世界不和が起きれば日本円は買われます。「ればたら」の話は禁物ですが、110円の壁はそう厚いものではなく、不和次第では再び90円台が起きてもびっくりする状況にないのです。それぐらい今の世の中は読めません。特に個人的に気にしているのはフランスのテロ事件をきっかけにイスラム教を刺激しすぎている点であります。私は仕事を通じてイスラム系の方々とビジネスをしたことも相当ありますが、基本的に「しつこい」のと信条に非常に固執するというのが印象です。フランスの主張も分かりますが、私は「火をつけた」気がしています。言論の自由にも道徳観は必要で何をやってもよいわけではないでしょう。

日本の国債価格が「とんでも水準」となっています。10年物で0.25%台で下落が止まらないとなると私事で恐縮ですが、Tiborの変動で借り入れている資金の実質金利は「爆笑金利」になってしまいます。カナダでは住宅ローンが2%をきって当局が心配したというニュースも以前あったのですが、カナダ人に言われせれば「お前は無料の金を調達している」と言われるのです。私は「坊主」ではありませんが、無料の資金があったとしてもじゃあ、もっと「不動産買おうか」と言えないところにポイントがありそうです。

一寸先は闇ですが、その先には花畑があるのか地獄の三丁目になるのか、何やら乱高下する市場に今年は地球儀ベースで振り回されそうです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2015年1月15日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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