苦悩するシャープから何を学ぶのか --- 岡本 裕明

2015年01月20日 13:51

シャープが再び赤字転落になるそうです。その規模は数百億円にもなる可能性もあり、売り上げも減少し、「競争激化」と「円安」による影響を指摘しています。

同社の苦悩は正に一本足打法、その後の改革を通じて事業のリストラを行いながらも液晶というスタイルに傾注していくところにあるのかもしれません。シャープに限らず日本企業や日本人は概ね、一つのものを突き詰めるスタイルが多く、その結果、世界の誰にも真似できない商品を開発する能力を持っています。これは自負できるものでしょう。


ただ、かつてから今日に至るまで相も変わらず改善しないのが折角の素晴らしい商品を儲けのネタに転換しにくいという事でしょうか? それゆえ、いくらiPhone6は日本の会社がなければできなかったとされても世界の99%のユーザーはそんなこと知らないのです。アップルというアメリカの企業価値のみが高く評価され、その中の部品メーカーのことなどは注目されません。

日経電子版にとても参考になる記事があります。中国の大手家電メーカー、ハイセンスへのインタビューで 「既存の薄型テレビ事業と食い合うことは気にしない。我々はまだ若い会社。薄型テレビの生産設備は持っているが、巨額の投資をしているわけじゃない。会社の方向性を柔軟に変えられる」としています。同社が展示したのはLEDのプロジェクター。確かにプロジェクターに映し出される画像はややシャープさに欠けますが、それを大きく改善したものと考えられます。

同社ではアメリカ向けに飲料専用冷蔵庫も開発したそうです。自動販売機のようにボタンを押せば飲料が出てくるその仕組み、記事にはパーティー好きなアメリカ人向けとなっています。実は私は2004年に開発した集合住宅で一部の部屋のマスターベッドの中の洗面所/浴室に小型冷蔵庫を置けるスペースを作りました。これは部屋が広くいちいち冷蔵庫まで行くのが面倒な時、ボトルウォーターやビールや飲料を風呂や寝室で飲むことを前提に設計したものです。同じことは最近日本で建築した住宅にも反映しています。二階建てなら寝室と冷蔵庫のあるキッチンは階段を上り下りしなくてはいけないからです。

今、皆さんの冷蔵庫の中を占拠しているのはジュースやボトルウォーターではないでしょうか? これらが全て飲料用冷蔵庫に収まれば実にすっきりします。ワインクーラーはワインだけではなく飲料水も冷やして置く用途があることはメーカーですら気がついていませんが、私のお客様はそのように使っています。発想の転換です。

世の中の技術革新と新たなるアイディア商品は日進月歩の域を超えており、まさにスクラップアンドビルドをいかに迅速に行えるかにかかっています。

例えばカラオケボックス。最盛期からはだいぶ淘汰され、このところようやく持ち直してきました。しかし、この事業も何れ衰退する可能性はあり得ます。理由はカラオケが家庭で普通に楽しむのが可能だという事でしょう。ゲーム専用機等につなぐ本格タイプから単にカラオケだけならエコー機能とマイクロフォンさえあえばパソコンでユーチューブからカラオケの楽曲を探し、パソコンとテレビをUSBでつなげばテレビの画面でカラオケはほぼ楽しめます。しかも世界中どこでも手軽に楽しめます(日本の場合には家が狭い、音漏れする、友人と気楽に楽しめないという難点は確かにありますが)。

実は私は日本で銀行の担当者に「潰れそうなカラオケボックスを探しておいてくれ」と頼んでいます。それはある事業に転換するには非常に好都合であるからです。あと5年ぐらいすればこの世界も大きく変化すると思っています。

大手企業ほど体質改善が進みにくい時代になってきています。稟議に10日もかかる会社は今でもざらですが、その間にビジネスチャンスは消えているでしょう。形式と形、伝統と従来のやり方にこだわり過ぎていないか、もう一度身の回りを確認した方がよいかもしれません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2015年1月20日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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