ドル高に泣いた決算、ダウ平均300ドル安をもたらす --- 安田 佐和子

2015年01月28日 12:19

米株相場は27日、米12月耐久財受注もあって大幅安。ダウ平均は終値で約300ドル安を迎え、約 1週間半ぶりの17400ドル割れで取引を終えました。 S&P500は1週間ぶりの安値、ナスダックも3営業日ぶりに4700p割れで引けており、あっという間に欧州中央銀行(ECB)後の上昇を打ち消しています。

やはりジョンソン・エンド・ジョンソンをはじめ、ドル高圧力が米企業決算で白日の下にさらされれば楽観的になりきれないのでしょう。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙も、データを駆使して影響を報じていますね。以下、ドル高に泣いた本日の決算発表でございます。

▽キャタピラー下落、7.2%安で引け。

10-12月(第4四半期)決算は、純利益が前年同期比24.6%減の7億5700万ドルだった。希薄後の1株当たり利益は1.23ドル、再編費用を除いた希薄後の1株当たり利益は1.35ドルと、市場予想の1.55ドルを下回っている。売上高は1.1%減の142億4000万ドルに。ただ市場予想の141億8000万ドルは超えた。

営業利益を部門別でみると、 鋼業が67%減の7200万ドルと大幅な減益を計上している。原油安や商品相場の下落が響いた。建設・機械も26%減の3億6200万ドル。エンジン関連の製造を担当するエネルギー・輸送部門のみ、10%増の10億800万ドルだった。

2015年の1株当たり利益は4.60ドル、リストラなど再編費用を除く場合は4.75ドルとなり、アナリスト予想の6.67ドルに遠く及ばなかった。売上高は約550億ドルを予想し、2014年通期の551億8000万ドル以下に。原油安をはじめ銅、石炭、鉄鉱石などの下落を影響として挙げており、ダグラス・ オーバーヘルマン最高経営責任者(CEO)は 決算資料にて「間違いなく2015年は困難な年になる」との見解を示しつつ「コスト管理と再編で営業の改善を図る」と説いた。

CNBCに出演した同CEOは、さらに弱気スタンスを表明。原油安に加えドル高圧力とダブルパンチを受けたことに対し「雨が降る時は大降りになるようだ」と嘆息を漏らしていた。

オーバーヘルマンCEO、原油安がもたらす景気面でのポジティブな影響にも慎重。

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(出所:CNBC)

▽ファイザーが下落、0.6%安で引け。

10-12月(第4四半期)決算で、純利益が前年同期比42.2%減の12億3000万ドルだった。一時項目を除く1株当たり利益は0.29ドルと、市場予想の0.53ドルより弱い。売上高は3.3%減の131億2000万ドルとなり、減収の一因としてドル高要因を挙げた。ただし、市場予想の129億ドルは上回る。

売上の内訳をみると、期限切れ薬品を含むグローバル・エスタブリッシュド・プロダクツ部門は10.6%減の64億700万ドルとなり、全体を押し下げた。一方で新薬を含むグローバル・イノベーティブ・プロダクツ部門は2.8%増の37億4800万ドル、 ワクチン・腫瘍・消費者ケア部門も10%増の28億8000万ドルと支えた。

2015年通期の1株当たり利益は2.0—2.10ドルとし、市場予想の2.18ドル以下にとどまった。売上高も445億—465億ドルとし、こちらも市場予想の475億6000万ドルに届かず。資料にて、フランク・ディアメリオ最高財務責任者(CFO)は一部の医薬品特許切れに加え、ドル高の余波を挙げた。

▽P&Gが下落、3.5%安で引け

10-12月(第4四半期)決算は、純利益が前年同期比30.9%減の23億7200万ドルだった。バークシャー・ハサウェイへの電池部門デュラセル売却など特殊項目および継続事業ベースを除く調整済み1株当たり利益は1.22ドルと、市場予想の1.14ドルより強い。売上高は4.4%減の201億6100万ドルと、市場予想の207億ドルを下回った。ドル高の影響で5%ポイント押し下げられたという。為替変動や買収などの影響を除く既存事業売上高は2%の増加に。美容部門を除き、すべて増加していた。

アラン・G・ラフレー最高経営責任者(CEO)は、決算資料にて「10-12月期はかつてない(ドル高を受けたロシア・ルーブルなど)為替安を背景に困難な四半期となった」と振り返った。事業再編や成長分野への集約に取り組むものの、ドル高が継続するなかでは「 問題を乗り越えるには十分ではないだろう」と慎重に結んでいる。

ジョン・モーラー最高財務責任者(CFO)も、「見通しは引き続き厳しい」とコメント。ドル高の影響で「売上高への為替差損は5%、純利益は税引後で12%に相当する14億ドル押し下げられる」との予想を示した。7-9月期の為替差損見通し2%から大幅に引き下げている。その上で、生産性の拡大とコスト削減のほか、値上げで対応する構えをみせた。 2015年通期(2015年6月末)は、売上高の予想を3-4%減とし従来の0-4%増から引き下げた。既存事業売上高は1-5%増、 為替変動を除くコア1株当たり利益予想の伸び率は15%増でそれぞれ維持した。

P&Gの部門別動向、為替差損の著しさが一目瞭然。

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(出所:P&G)

そのほか、化学大手のデュポンは2015年通期の1株当たり営業利益は4.0—4.20ドルを見込み、市場予想の4.46ドル以下にとどめています。ニック・ファナンダキ最高財務責任者(CFO)は、カンファレンス・コールにて「ドル高が2015年に主要通貨で継続するようであれば、大きな向かい風になる」警告しました。

3Mも、ドル高の犠牲者です。インゲ・チューリン最高経営責任者(CEO)は「ドル高により、売上が4%押し下げられた」と説明。特に欧州・中東・アフリカ地域では6%に及んだといいます。海外進出を推進するなか米国外の売上が約3分の2を占めており、ドル高の余波をもろに被ってしまいました。

バロンズ誌は、最新号で米連邦公開市場委員会(FOMC)がドル高圧力で企業決算が不振に終わった場合のリスク・シナリオを描いていましたよね。足元すでにメイシーズを皮切りにコカコーラ、原油安を背景にシュルンベルジェやベーカー・ヒューズ、アメリカン・エクスプレスeベイなど業種を問わず数千人規模のリストラを相次いで発表しており、業績のしわ寄せが労働市場に及ぶこと必至。米新規失業保険申請件数が30万件乗せとジリ高を示すように実体経済へのインパクトを踏まえれば、可能性がないとも言い切れない?


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年1月27日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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