金融市場に変調の予感 --- 岡本 裕明

2015年02月04日 16:30

このところ、株式市場を見ていてふと思うことがあります。それはニューヨークと東京市場の連動性が薄れたという事でしょうか?ニューヨークが上がっても東京は下がったり上げ幅が小幅で留まったり、はたまたその逆という事がしばしば見受けられます。


たまたまそういうニュースがヒットしたという事もありますが、根本には金融政策の立場の相違が相場に反映されているのではないでしょうか?その顕著な例が原油価格相場との相関性であります。ニューヨークの株式市場ではこのところ、低迷する原油価格に呼応するように株式市場の足元もふらついていました。ところがこの1週間ぐらいでアメリカのシェールのリグの数が大幅に減少するなど原油価格にプラスサイドのニュースが飛び出したことで売り方の買い戻しも含め急速な逆回転が効いてきています。28日は43ドル台をつけていた原油市場は今日、既に51ドル台を奪回しているのですが、明らかにこれを好感してダウも300ドル近い上昇となっているのです。

一方、東京市場では原油安でもっとも恩恵を受ける国の一つとされる日本のプラスサイドの影響が打ち消されるという事もあり、ややネガティブになっているのでしょうか?

もう一つは日銀の政策への疑問であります。我々の知らないレベルの高度な計算が働いているのかもしれませんが一般の目に映るピクチャーは明らかに手詰まりであります。一部専門家は今年半ばにかけてデフレに逆戻りするシナリオの可能性を指摘しています。日銀自身がさらなる金融緩和に対して躊躇する姿勢を見せていることで更にその可能性に拍車をかけています。

その上、昨日の国債の入札不調で10年物国債が一時0.36%まで上がったのは市場と日銀政策の信頼関係に薄い膜ができたような気配が見て取れます。

政府、日銀の最大の作業は17年4月に確実に実施される消費税引き上げまでのロードマップを確実にすることです。それまでの2年間に景気の巡航速度が回復していることが必須課題となりますが果たしてどうなのでしょうか?日銀と政府がどこまでこの難題に立ち向かえるのか、まさに最後のチャンスとなるのが今であります。

低金利がこれだけ長く続く日本ではもはや聞かれなくなったのですが、一昔前、金利低下は高齢者の安定した金利収入をはく奪し、結果として消費を低迷させるという事が指摘されたことがあります。確かに利率4-5%という時代はかつて普通だったわけで5000万円の預金に対して年間250万円(=月20万円強 税別)も利息を貰えればそれこそ年金の足しになるし、老後の生活の原資としての役割を十分果たすことができたのです。

そういう意味では安倍政権が企業に賃上げを強く働きかけていますが、それだけでなく、主役の高齢者の生活安定感と将来をどうセキュアしていくかをおろそかにしてはいけないでしょう。現役と高齢者の両輪をうまく回すことで消費税引き上げまでのシナリオを組んでいくべきだと思います。

今は第3四半期決算発表たけなわとなっているのですが、これがまた株式市場を刺激していないようです。概ね期待通りの悪くない決算数字が並んでいるのですが、市場はどうもその先、つまり、今期ではなく来期を見ているように思えます。その来期に強気の見通しとする企業はまだ少ないようでむしろアベノミクスで好調とされていた経済環境の中、見ようとしなかったひずみが今になって出てきているような状況であります。それが商社の決算であり、外食産業の厳しさでもあります。建設もさえず、不動産も苦戦しています。

一部の経営者は2015年は勝負の年と言っていますが、勝負とはトレンドチェンジがあるという見方もできます。私もその予感がします。今年は昨年末までの景気の良い話は一旦封印した方がよいのかもしれません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2015年2月4日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。


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