カサノバCEOもようやく日本流の謝罪記者会見

2015年02月06日 13:07

マクドナルドがさらに酷い状態に陥っています。2014年12月期(2014年1月1日~12月31日)の連結決算で最終損益は218億円の赤字に転落したことを発表していましたが、年が開けた1月は既存店で28.5%もの顧客を失い、売上高を38.6%も減らしてしまい壊滅といっていいほどの状態に陥ってしまいました。
さすがにというか、ようやくというか、カサノヴァCEOご自身がはじめて記者会見に登場され、異物混入問題などでお客さまに迷惑をかけたこと、またご自身がこれまで記者会見にお出にならなかったことも含めて謝罪されていました。ほんとうにこれまでよく見てきたトップによる謝罪会見の風景です。カサノバCEOも、ようやく日本の文化というか精神風土を理解し、それに従ったということでしょうか。頭を深々と下げたことにそれを感じます。


マクドナルドの不振については、整理しておく必要があると思います。もともとマクドナルドの迷走と顧客離れが始まのは原田CEO時代からです。
このところマクドナルドに勢いを感じなくなった(2012年10月)

原田CEO時代には、消費者心理を逆なでするような施策もいくつかありました。顧客を惹きつける魅力づくりを行わず、効率化を進めれば業績が回復するという錯覚もあったのでしょう。このブログ記事からいくつかをピックアップしてみました。
「会計後60秒超でビッグマック無料」ってどうなんだろうね(2012年12月)

しかもマクドナルドは、不振の原因を消費者の外食離れと一貫して説明し、それに乗ったマスコミもありましたが違いました。同じハンバーガーチェーンのモスバーガーは好調で、他の外食チェーンも一部を除くと、マクドナルドほどの不振には見舞われておらず、たんにマクドナルドがコンビニにすら顧客を奪われるほど魅力を失ってしまっていただけでした。
マクドナルド一人負けの理由~敵は外ではなく内だというのが相場(2013年3月)

そしてあまりの業績不振のために、カタチは繕ったとしても、実質は原田CEOが経営から追放され、カサノバ新CEOへのバトンタッチ劇が起こったのですが、カサノバ新CEOが矢継ぎ早に打ってきた手も、マクドナルドの価値そのものを見直す抜本的な改革ではなく、改善の域を超えていなかったように思えます。それでも、いろいろ手をつくして、原田CEO時代の負の経営からは抜けだそうともがき、いったんは顧客離れに歯止めがかかりそうな気配のあった時期もありました。
マクドナルドは危機を脱したか(2014年2月)

しかしそこに襲ってきたのが、上海での鶏肉偽装の発覚の波紋であり、さらに追い打ちをかけ、異物混入問題がつぎつぎに発覚し、この1月の空前の客離れへとつながっていきました。

しかも、詳しく調査しないとわかりませんが、原田CEOがしかけた強引とも思える直営店比率を下げる施策が、店舗運営の混乱や質の低下を招き、相次ぐ異物混入事件につながっていったのではないかという疑念は拭えません。

つまり、マクドナルドの不振は原田前CEOの迷走から始まり、カサノバ新CEOがエネルギッシュに「改善」を試みたけれど、根本的な戦略や体質は変えることができず、そこに原田前CEOが敷いた地雷を踏んでしまったという感じでしょうか。

さて、カサノバCEOは記者会見で、全国行脚を行い、お店や消費者の声を聞くと語っておられました。えっ?それはCEOに就任してまずやるべきことではなかったのか、これまでは机上と会議室で施策を考えていたのかと耳を疑います。

事件は会議室のなかでも、パソコン画面のなかで起こっているのではありません。まさに現場で起こっているのです。マクドナルトのように店舗を構え、サービスを提供しているのなら、ましてやです。

しかし、売上の予想すらつかなくなるほど深刻な危機に見舞われたとすれば、逆に抜本的な改革も断行しやすいかもしれません。マクドナルドでしか提供できない新しい魅力とはなにか、しかも、どうすれば、マクドナルドが変わったと生活者が感じ、期待をもってもらえるのかから考えれば、おのずと正解はでてくるはずです。あとは思い切ってそれを実行できるかどうかです。そうでなければ、これ以上、傷を深めないうちに、いずれかの企業に事業を売却したほうがいいのかもしれません。

「信頼」の回復は最低限行わなければならないことですが、同時に必要なのは「期待」の創出でしょう。おそらく全国の生活者の人たち、マクドナルドの店舗で働いている人たちの声をナマで集め、本音を聴きだすことができれば、カサノバCEOもきっとそのことを痛感できるのではないでしょうか。

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大西 宏
株式会社ビジネスラボ代表

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