キレる若者はなぜ増える

岡本 裕明

最近のニュースは奇妙な殺人事件で溢れています。毎日のように悲惨な事件が起きるその当事者の多くは若者であり常識では考えられない行動や犯行理由に我々の意識では全く理解が出来なくなってきました。「人を殺してみたかった」というその心理や現在捜査中の中学生への殺人は人の命がまるで画面の中のゲーム感覚の延長線上にあるのでしょう。


加害者たちからすればほとんど意識なくそういうエキストリームな行動を行い殺人に至っているような感じであり、ニュースで我々が目にするこれらの事件は氷山の一角と考えた方がよさそうです。

キレる若者が増えた理由は相当あると思います。

家族構成が小さくなり親戚などとの付き合いも薄弱になり、共稼ぎになり、兄弟もおらず、家族間のコミュニケーションができていない。
学校はモンスターペアレンツにおののき、教師の生徒への厳しい態度やペナルティ、はたまたちょっときつい運動や居残りもクレームの対象となること。
住環境は昔の戸建主体からマンションとなり、セキュリティもあり、簡単に家に遊びにいけなくなり、街中には子供が思う存分遊べるような施設も限られていること。
仮に友達同士で遊んだとしてもゲームが主体でスポーツなど「共に汗をかく」といった努力や苦労が伴わないこと。
ネットを通じたコミュニケーションが主体となり、会話が減っていること。
モノを買うにもサービスを受けるのも今やワンクリックの時代となり、待ったり我慢したりする忍耐力が圧倒的に欠如していること。
格差が子供社会の中でも認識され、金持ちの子息をいじめの対象にしやすいこと

つまり、モンスターペアレンツならぬモンスターキッズが増殖しているのであります。

本来であればモンスターペアレンツを更に上回る武田鉄矢のような熱血ウルトラティーチャーとか職を賭ける校長とか、教育を本当に作り直す当局の教育長等がモンスター退治をすべきなのです。モンスターを放置するからその子供もモンスターJr.になってしまうのです。

ところで、私の会社で運営するシェアハウスはどうも生活感が薄いという気がしています。人はいるのにどうやって生活しているのだろうと思うことはキッチンがどうなっているかで大体わかります。まず、料理をした形跡がないようなのです。

先日、友人の娘達がバンクーバーに来ていた際、料理の話に及び、家中(つまり両親含め)、誰もやっていないしやったこともない、と平然と言われました。(つまり全食外食か出来合いを買うということです。)やってみたい気はするけれど「時間がない」と言います。思わず、「君たちは多分一生料理をすることはないよ」と本音が出てしまったのですが、その背景は世の中が便利になり過ぎてしまったことが大きいと思います。

夜12時近く、駅から歩いているとラーメン屋で定食をかけこむ女性がずいぶん多いことにびっくりします。以前なら絶対にありえない光景でした。仕事も忙しいのでしょう。しかし、そんな生活を続けていれば幸福度は大きく下がってしまいます。日本の経済はひょっとすると薄日が差しそうな気配がありますが、私はこの国に必要なのはGDPよりもブータンの様に国民幸福度指数(GNH)をもっと取り込むことのような気がします。

キレる若者は社会からスピンアウトした人も多いようです。ではなぜスピンアウトするのか、仲間が守らなかったからであり、チームという本来の固まりの粘着性が十分ではなかったからでしょう。ドライになった時代というのもそこから類推すればなるほど、という事になります。

毎日のニュースを見るたびになぜだろうと首をかしげる今日この頃です。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

岡本裕明 ブログ外から見る日本 見られる日本人 2月25日付より