オバマ大統領の拒否権発動は「死に体」の証左か

アゴラ編集部

昨年2014年秋に行われた米国の中間選挙で、オバマ大統領の与党、民主党は上下両院で共和党に惨敗しました。今では両院とも野党の共和党が多数派を握り、2016年の大統領選挙まで、オバマ政権の議会運営や政策実施について厳しい舵取りが予想されます。

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一方、米国のいわゆるシェールガス革命は、今の原油安で打撃を受けているようです。ここまで採算ラインが下がると輸送コストもバカになりません。米国やカナダで産出される原油などを、どう運ぶのか、かなり重要な問題です。最近、米国議会にカナダからメキシコ湾まで北米大陸を縦断するパイプライン敷設計画の法案が共和党から提出されていました。

環境への影響を懸念するオバマ大統領は、こうしたパイプラインについて否定的なようです。米国議会へ提出されたパイプライン法案は、多数派である野党共和党により可決。しかし、オバマ大統領は「拒否権」を行使して法案に署名しない決定をしました。

米国では議会が可決した法案に大統領が署名して効力を発揮します。大統領が議会の法案に反対の場合、署名を拒否して法案を議会へ差し戻すことができる。しかし、両院の2/3を超える多数で議会が再度可決すれば、大統領の意志に関係なく法案が発効する、というシステムになっています。

いくら多数派とはいえ、共和党が両院で2/3も取れる可能性は低い。大統領拒否権発動の効果、とも言えますが、拒否権を「乱発」すれば、それは政権の「死に体」を意味します。すでに米国政界では実質的な大統領選に突入しており、民主共和両党の候補者選びが始まっています。民主党はヒラリー・クリントン前国務長官で一本化しそうですが、この間に誰が頭角を現してくるか予断を許さない。これはドングリの背比べ状態の共和党も同じでしょう。

新大統領が決まるまで、オバマ大統領はいったい拒否権を何回行使するんでしょうか。野党共和党は拒否権を発動させることでオバマ民主党政権を「死に体」化させ、大統領選を有利に戦おうという戦術を採ることもできます。

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アゴラ編集部:石田 雅彦