発見された戦艦「武蔵」はどう沈んだか

2015年03月13日 11:15

戦艦武蔵、発見さる、というニュースはブラウザゲーム『艦これ』の提督(プレーヤー)だけではなく、日本中を興奮させました。マイクロソフト社の共同創業者ポール・アレン氏らが太平洋戦争中、レイテ沖海戦で米軍の攻撃により轟沈した武蔵を発見。武蔵が沈没した地点、特定はされていましたが、沈降する過程で海流に流され、海底に沈没後の姿はこれまでまったく行方不明でした。

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手前が戦艦武蔵。向こうは大和。白く見えるのはテント。ポール・アレン氏のHPより。


沈没地点の水深は約1000mと深く、海流も早いので広大な候補海域がこれまで綿密に調査されることはなかった。この「ナショナルジオグラフィック日本版」によれば、アレン氏らが発見できた理由は生存者の証言と最新鋭の機器を駆使したことが大きかったようです。3月13日にネット上で放送された戦艦武蔵の沈没状況のライブ映像では、砲塔を乗せたターレットや巨大なスクリューなどがよくわかる。

第二次世界大戦の各国海軍の発想は、航空勢力が艦隊決戦の帰趨を決するという思想と旧来の大艦巨砲主義が入れ替わる時期にありました。巨大戦闘艦は企画立案から予算を組み、起工から就役まで長い時間がかかります。戦艦武蔵も1938年の起工から1942年の就役まで突貫工事でも4年以上かかっている。その間、世界の海軍では、巨大戦艦が砲戦をやり合うという従来の海戦イメージから、空母を中心にした機動部隊の航空戦力が雌雄を決める、というように大きく転換していきます。

実際、日本海軍は太平洋戦争開戦時に航空戦力で米海軍の拠点であるハワイの真珠湾へ奇襲攻撃をかけ、さらに英国海軍の新鋭戦艦プリンス・オブ・ウェールズと重巡レパルスを陸上から発進させた双発の爆撃機によりマレー沖で撃沈させています。日本海軍も世界の趨勢を知っていたわけですが、大艦巨砲主義の「神話」からなかなか抜け出せなかった。戦艦武蔵の46cm主砲の射程距離は水平線の向こうまで飛ぶ約40kmでしたが、いくら大砲で遠方を射撃しても航空機にはかないません。

戦艦武蔵は1944年10月24日、いわゆる「栗田艦隊」の1艦として重巡愛宕や摩耶、髙雄らとブルネイ経由でフィリピン沖のシブヤン海へ出撃し、ウィリアム・ハルゼー提督率いる空母群から発進されるなどした航空勢力の攻撃を受けました。艦上雷撃機や艦上爆撃、陸上機である四発の重爆などのべ100機以上、爆弾10発以上、魚雷10本以上、第六次までの波状攻撃に耐えましたが、ついに19時35分、東経122度32分、北緯13度7分の地点で沈没します。沖縄へ「特攻」した戦艦大和は戦死者2740名、生存者269名(または276名)、武蔵では戦死者1023名、生存者1376名となっています。

武蔵が沈没している地点の水深は約1000mと言われ、そのような深海から武蔵ほどの巨艦を引き上げるのはほとんど不可能です。アレン氏は自費で引き揚げたいようですが、実行すれば数百億円かかると言われ、失敗する可能性も高い。フィリピン政府は日本政府と協力しつつ調査する意向がある、と発表しましたが、日本政府と厚生労働省は困難な船体の引き揚げや遺骨収集は現時点で考えていないようです。今年は戦後70年。戦艦武蔵の発見もその象徴的な出来事の一つです。

livescience
Live Underwater Tour of WWII Shipwreck Airs Tonight


The Ancient Secrets of a “Bleeding” Glacier Are Finally Being Revealed
GIZMODO
氷河が海へ落ち込んでいる場所が血に染まったように真っ赤になっているショッキングな映像ですが、これは酸化鉄、つまりサビによるもののようです。200万年かけてゆっくりと流れる氷河ですが、こうした現象もまれに起きる。微生物により保存された、一種のタイムカプセルです。
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A Contemporary Microbially Maintained Subglacial Ferrous “Ocean”より。

ブルーレイに不織布ケースは厳禁 再生不能になる可能性が
タブロイド
データを永久に保存することは不可能です。どんな物質もいつかは必ず壊れる。でも、なるべく長く、と考えるのが人間。それにしても、世界中のデジタルデータの総量っていったいどれくらいなんでしょうか。気が遠くなります。

Airplanes In 2030 Will Look Like This And Generate Their Own Power While Flying
Wonderful Engineering
2030年の航空機の未来予想図です。もうほとんどSFの世界ですが、自分自身で飛行エネルギーを作り出すことができるようになるらしい。電気自動車などの回生ブレーキのようなもののようです。けっこうカッコイイ。
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スペインのデザイナーの作品です。

It starts with a poster
Science
学会での「ポスター」発表で科学者同士のコミュニケーションは始まる、という論考です。大規模な学会では数百ものポスター発表があり、作成者と来場者の間でそこかしこでやりとりする様子が見られます。ポスターには概要を表現し、興味を持った質問者にポスター作成者がていねいに説明したり、かなり詳細な内容が表現されて力の入ったポスターの前で個別の質問に対応したりしている。アイキャッチで目を引いたり、わかりやすく論点が整理されたり、ポスター作成には研究とは別のスキルが求められるようです。


アゴラ編集部:石田 雅彦


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