どこまで強気、日本の株価

岡本 裕明

アメリカが下がれば日本が上がると言われる時代が本当にやってくるのでしょうか?NYの株式市場は上げ下げの振れ幅が激しい状態が続きますが、日本の株式市場は下げても底堅く、着実に上昇する流れをもたらし、19000円の節目もあっさり抜き去り、上昇を続けています。年初には年末までには20000円も、と言われた日経平均はひょっとしたら3月中の達成もあり得るという強気のコメントも出てきました。


市場を見ている限り、特定銘柄や業種が爆上げしているわけではなく、全体がじわっと上がっていることに今回の上げ相場の特徴があります。つまり、年金や内外の機関投資家の買いが主導しているとみてよさそうです。その場合、3月も中旬を過ぎてきていますので企業の決算売りもそろそろ減るはずで4月上旬にかけて需給関係は更に好転していくとみられます。

もう一つはアメリカの金利引き上げタイミングを睨み、資金を分散化している可能性があります。ニューヨークでは明らかに利食いの傾向が強まっており、これ以上買い進むにはやや躊躇しているのがありありと見て取れます。木曜日のニューヨークの200ドルを超える上げは米国の小売販売の指標が予想を下回り悪化傾向が止まらないために利上げ時期が遠のいたという解釈であります。逆に言えばセオリー通り、利上げは株価にはやはり苦い薬なのであります。そこから類推すると資金を日欧にもっと回すことは大いにあり得ます。

日本の主要平均株価チャートを指数化させて比較すると安倍政権発足時をゼロとすれば日経平均、TOPIX,ジャスダックはほぼ70%以上の上昇になっています。IT系の多いマザーズだけは130%程度とかけ離れていますが2013年に爆上げした後高値圏で調整が続いている状態です。

これは日本企業の利益、財務などが明らかに変化し、筋肉質になってきている結果であります。勿論円安効果もあるでしょうが、内需企業や一部の電機企業にはむしろマイナス面も見えてきており、ここにきて無理な円安を引き出す日銀の追加政策が止まっていることもどちらかといえばプラス効果とみてよさそうです。

さて、株価の上昇は日本経済にはプラスなのですが、個人の懐にはどうなのでしょうか?

統計的には株式投資をしているのは50歳代から上が何と74.5%を占めています。また70代から上が22%となっています。非常に偏っているのがお分かり頂けると思います。つまり、この上げ相場でホクホクしているのは今、お金を必要としている20-30代の人ではなく、ある程度資産を既に確保済みの方々が多いのであります。また残念なことにお若い方は株式の本格的な上げ相場をあまり経験しておらず、株は下がるもの、損をするものというイメージがいまだに強いかもしれません。

カナダでも最近低金利化が進み、預金利息はいよいよ少なくなり始めています。私はカナダの銀行株など株価の動きは小さいものの配当が非常に良い銘柄をポートフォリオとして少し買うのは一つのアイディアと思っています。海外では配当が日本より高く、日本が平均1.6%に対してアメリカ1.85%、ドイツ2.39%となっています。

投資信託もよいのですが、手数料を考えると案外少なくなったりすることもあります。また自分で株式を買うようになると経済や企業のことが気になりだし、勉強をするようになります。これは自分自身の知識にもつながるのですから大変良いことでしょう。

もちろん、株価に永遠の右肩上がりはあり得ません。日本の株価は短期的に見れば過熱圏にあり、調整が必要です。調整は時間と株価の両方がありますが最近は時間の調整のケースが増えています。長い目で考えれば株式投資は悪くないと思います。但し、くれぐれも深追いしすぎないように、というのが中学生の時から株式市場とおつきあいをしている者としての一言であります。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

岡本裕明 ブログ外から見る日本 見られる日本人 3月14日付より