渋谷区長選に緑の鳥が羽ばたいて統一選の目玉に

新田 哲史

どうも新田です。掃除は苦手です。さて速報的に“特ダネ”打っちゃいますが、お掃除NPOグリーンバードの創設者であり、市民大学「シブヤ大学」の仕掛人として知られる渋谷区議の長谷部健さんが、来たる区長選に出馬することが明らかになりました。4月2日にも記者会見して正式に表明することになりそうです。


渋谷フリー
■「大阪都構想」住民投票と並び、近未来を象徴する選挙 !?
「たかが一区長選」に収まらないのは、5月の大阪都構想の住民投票と並んで、日本の近未来の幕開けになるのかどうか鳥羽伏見の戦い的な意味合いのある地方選挙になるように思えるからなんですよね。
それで、区長選の顔ぶれですが、こんな感じです(50音順)。

 名前   年齢  主な肩書  推薦・支持
長谷部健  43   区議     無所属
村上英子  59   都議    自民、公明
矢部一    64   元都議   民主(共産支持)

私が出馬の動きを察知したのは2月中旬。きっかけは例の同性愛パートナーシップ条例案提出の報道でした。自民党出身の保守バリバリの桑原区長が突然引退間際にLGBTに優しいお爺ちゃんになったことに違和感があって、もしかしたら、以前からLGBT向けの政策を構想していた長谷部さんが区長選に出る方向なのではないかと関係各所に聞き回ったところ、複数の信頼できる関係者から聴き出した次第です。ま、その時点で書いても良かったんですが、条例案の成立に向けて議会が煮詰まっているところへ余計な波風を外野から立ててあらぬ方向に飛び火するのもどうかと思い、1カ月以上も隣の港区で悶々と過ごしておりまして本日めでたく条例通過ということで予定稿をぶちこんだ次第。

今回は桑原区長が話題の条例を置き土産に引退。自民党は党本部が区長呼び出し云々と騒いで条例に反対した経緯もありますから、村上さんが当選したら条例廃止の方向で動くでしょうね。一方、事情通の一人によりますと、桑原さんは、長谷部さんを実質的に後継指名するそうで、パートナーシップ条例の行方も絡んで、区長選が盛り上がるのではないかと思われます。村上さんも長谷部さんも去年、東洋経済オンラインの連載で取材させてもらったので、渋谷区界隈の実績ある政治家同士が真っ向勝負ということで、ここ10年来の23区長選では一番見所満点な展開になると個人的にも注目しております。

■不可解な動きをするサヨク界隈
それで、すっかりリングの外に置かれた感のある民主党ですが、10年以上、浪人している矢部さんという元都議を担ぎ出すそうで、ほかにタマがいなかったのか的な感じもしますが。しかも共産党が支持に回るといいますから驚きです。あ~、渋谷の民主党のボスである長妻さん、禁断の果実に手を出してしまったのね、ピケティを読み過ぎて“そっち”に走ってしまったようです。

同時に共産党が独自候補を立ててお家芸の「独自の戦い」をしないというのは、この選挙の意味合いを断片的に表している気がします。本気で勝ちに行っているというよりも、野党支持者クラスタ、無党派クラスタを敢えて二分割にする、何か深謀遠慮を働かせているとみるのは穿ち過ぎですかね。仮に「村上VS長谷部」という形で共産党にとって究極な選択になった場合、LGBTの権利擁護とか理念が近く、リベラルな長谷部さんが区長になった方が実利を勝ち取りやすいのではないかと普通は思うんですが、宮下ナイキ公園のホームレス問題を炎上させる運動路線に舵を切りたくて仕方ないようです。メロリンQ界隈の反原発クラスタは落選運動に向けて準備万端のようです。

■旧勢力VSプア充VS意識高い系の戦い
結局、彼らサヨたちは「プア充」なんで長谷部さんの取り組みが「リア充」に見えて生理的に嫌いなんでしょ。このあたり、2011年の大阪市長選で共産党が当時現職の平松さんを支援して橋下さんに対抗した構図を彷彿とさせます。プア充は何かを変えるリア充よりも、何も変えないリア充がお好きなわけで。そして、村上陣営が古色蒼然とした組織戦を展開してくる展開でして、全国的にもイノベーティブな企画を次々と提案してきた「異形の区議」の参戦により、ウヨからサヨまで旧態としたクラスタが本気で潰しにかかってくる気配です。

コミュニティ・オーガナイジング的な発想で、ビジネスやITの知見を活かした新しい社会づくりのムーブメントが2020年のオリンピックの前から始まるのか、それとも五輪後の財政破たんとか日本が詰んだ後からに先送りされるのか、象徴的にも感じている次第です。ではでは。

新田 哲史
ソーシャルアナリスト/企業広報アドバイザー
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