同じように「半世紀」が過ぎたが… --- 長谷川 良

2015年04月12日 08:23

オバマ米大統領とキューバのカストロ国家評議会議長は10日午後、パナマ市で開幕した米州首脳会議で互いに挨拶し、握手を交わした。欧米メディアは“歴史的な握手”と報じた。それに先立ち、ケリー米国務長官が9日、パナマ市内でキューバのロドリゲス外相と会談している。オバマ米大統領が昨年12月17日、キューバとの外交関係正常化に乗り出すと表明して以来、両国間で今年1月21日から外交接触が続けられてきた。


米キューバの関係を考える時、冷戦時代の核戦争の危機を想起せざるを得ない。米国はキューバ革命(1959年)に成功したフィデル・カストロ政権の崩壊を目指していた。それに対し、ソ連(当時)が1962年、キューバ国内に核ミサイルを配置しようとしたことから米国が反発、米ソ間の核戦争の危機が高まった。いわゆる「キューバ危機」と呼ばれる出来事だ。最終的には、米ソが相互に譲歩して戦争は回避された。

米キューバ間は冷戦時代、ケネディ政権が1961年、キューバとの国交を断絶して以来、外交関係のない遠い関係となった。米国内にはキューバから亡命した亡命キューバ人の社会共同体ができ、米国内で反政府活動を展開させてきた。亡命キューバ社会は米国の対キューバ政策に大きな影響を与えてきた。

米キューバ両国は関係断絶後、“半世紀”が過ぎてようやく接近してきたが、半世紀といえば、日韓両国は1965年6月、国交正常化を締結した。あれから同じように、“半世紀”の時間が経過した。今年は日韓国交正常化50周年の歴史的な年だ。

日韓両国は半世紀間、外交関係を締結し、政治、外交、経済、文化関係を構築していった。その両国は半世紀を迎える今日、日本国内で嫌韓が高まる一方、韓国では反日感情が国民の間で席巻している。

韓国は日本に「正しい歴史認識」を要求し、旧日本軍下の慰安婦問題を国際化し、告げ口外交を展開している。一方、日本側は韓国側の一方的な反日攻撃に嫌気がさし、隣国への無関心が広がってきた。安倍晋三首相が、「中国とは考えは違うが交渉できるが、韓国とは交渉すらできない」と嘆いたという噂が流れるほどになってきた。韓国で朴槿恵政権がスタートして3年目に入ったが、両国首脳会談は依然実現されていない。

半世紀余り関係が途絶えてきた米キューバがここにきて関係正常化に乗り出してきた一方、両国国交正常50年目を迎えた日韓両国は「歴史上、最悪の関係」といわれるほど、険悪な関係となってきた。同じ半世紀の間で米キューバ両国と日韓両国の関係はまったく異なる展開をしてきたわけだ。

もちろん、「米キューバ」と「日韓」では政治的、歴史的にあまりにも違いすぎる。周辺諸国の政情も異なる。同じ半世紀という時間が過ぎたといえ、両者を簡単には比較できない。分かっているが、日韓国民はやはり考えざるを得ないのではないか。“失われた半世紀”とは表現しないが、どうして半世紀という時間を得ながら両国関係は深化できなかったか、強固な信頼関係を構築できなかったか、冷静に考えなければならないだろう。

ウィーン生まれの経営学者ピーター・F・ドラッカーは「創造する経営者」の中で、「たいていの経営者は、その時間の大半を『きのう』の諸問題に費やしている」と指摘し、未来へのリスクを恐れるべきではないと諭している。含蓄のある言葉ではないか。「きのう」のことを「現在」の最大課題とし、「未来」を創造できない為政者は経営者と同様、最低の指導者だ。時間が過ぎていくのではなく、われわれ人間が過ぎ去っていくのだ。「現在」と「未来」にその能力と知識、そして財力を投入すべきだ。日韓両国は新しい半世紀に向けて、再スタートを切るべきだろう。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2015年4月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。


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