知られざる「欧州統一運動の歴史」 --- 長谷川 良

2015年05月11日 12:07

通称・統一教会といえば、日本ではキリスト教系のセクトであり、“親泣かせ原理運動”から“霊感商法”までさまざまなネガティブな情報が広がってきたが、キリスト教社会の欧州では、統一運動は既にキリスト教の一派として定着し、既成教会と神学論争も一部行われている。


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▲「欧州統一運動50周年」記念集会で講演する韓鶴子女史(5月10日、国際会議場オーストリア・センター)

その欧州統一運動がスタートして今年で50年目を迎えたことから、オーストリアのウィーンで10日、統一運動の創設者・故文鮮明師の妻、韓鶴子夫人を迎え、「欧州統一運動50周年」記念集会が国際会議場オーストリア・センターで開催された。

主催者側の発表によると、欧州35カ国から統一運動のメンバーたち約2500人が参加した。会場には、統一運動を支持する“平和大使”の政治家、大学教授らも同席した。ちなみに、同50周年記念イベントを取材するため、7人の韓国人ジャーナリストがウィーン入りした。

韓鶴子夫人は祝賀会で記念演説の中で、「欧州はキリスト教社会です。イエスの十字架後、キリスト教信者たちは再臨の時を待ち望んできました。再臨主は真の父母として既に降臨されているのです。キリスト教信者たちにこの真理を自信をもって述べ伝えてください」と、欧州の統一運動メンバーを激励している。

欧州の統一運動は旧ソ連、東欧諸国の民主化に多大な影響を与えた。故文鮮明師は1990年4月11日、旧ソ連最後の大統領ゴルバチョフ大統領とモスクワで会談し、世界を驚かせた。同師は冷戦終焉前に共産主義世界の終焉を予言したことで知られている。

欧州の統一運動は1978年、ミッション・バタフライ(Mission Butterfly)と名付けられた旧ソ連・東欧伝道を開始、宣教師を派遣し、共産主義思想の間違いや神の存在について命がけの伝道を行っている。欧州統一運動の初期には、共産政権下で拘束され、刑務所で死去した統一運動のメンバーも出ている。

宣教師たちは主にオーストリア教会から派遣され、多くは現地で地下活動を強いられた。宣教初期、旧東欧諸国の男性と結婚した女性の中には3人の日本人女性が含まれていた。その一人、板東晴美さんは旧チェコスロバキアの男性と結婚し、そこで家庭を持ち、夫婦で宣教活動に励み、現地の教会の基盤を築いたが、1993年8月、41歳の若さで亡くなっている。

興味深い点は、冷戦時代、世界最初の「無神論国家」を宣言したアルバニアで今日、統一運動が若者たちの心を捉え、大きな精神覚醒運動に発展していることだ。

冷戦時代とその後の欧州の統一運動について、残念ながら日本ではほとんど知らされていない。世界で展開されている統一運動について、偏見を捨てて冷静に検証する必要があるだろう。統一運動を、霊感商法やセクトといった観点だけから、批判し、無視するには、余りにも惜しい。欧州神学界では、統一運動の核、「統一原理」は伝統的なキリスト教神学を継承する一方、新しい観点から聖書の世界を解き明かしている、と評価する声が広がっているのだ。

なお、欧州統一運動50周年祝賀会に合わせ、「平和の天使」と呼ばれる韓国少女舞踊団「リトルエンジェルス」が9日、オーストリア・センターで歌と韓国舞踊を披露した。同舞踊団は、故文鮮明師が1962年、世界の平和を願って創設したもので、国連や英王室などにも招かれ、公演し、好評を博した。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2015年5月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。


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