「内定するかも」と思わせる企業の狡猾と学生の愚直

2015年05月21日 06:00
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「厳選採用を演じる企業」と「就活を演じる学生」の矛盾を投稿したところ思いのほか反響があったので追記したいと思います。


■企業の狡猾は当然
学生が内定を取得するにあたって必要なことは、小手先のスキルを磨くことではありません。就活に対して狡猾になり臨機応変に対応することです。大手企業であれば生涯賃金が約3億円以上といわれているなか、新卒社員を1名入社させることは大きな先行投資になります。大きな先行投資になる以上、内定出しには慎重にならざるをえません。

投資という、多額の出費がかかることに加えて、費用対効果を考えますから投資効果が見えやすいものに意識がはたらきます。投資効果が見えやすいものが出身大学になります。就職四季報などを見れば採用人数と採用実績校が分かるはずです。数年前までさかのぼって、出身大学の名前が載っていなければ、当該企業から内定を取得することは極めて困難であることを意味します。

■「就活」と「採用」を買い物で考えてみる
就活と採用は買い物に置き換えると分かりやすくなります。ここに就活生の鈴木さんがいると仮定します。鈴木さんは首都圏の有名大学に在籍する学生です。百貨店に行き商品を探すかのごとく企業回りを開始しました。ところが、カバンが小さいので買い物は1つしか入りません。選んだ複数の商品のなかから良いと思う商品を選びあとはドンドン捨ててしまいます。

いま捨てようとしているのは、A社の内定です。A社の店員は捨てられては困るので「値引き」(条件)を提示しました。それでも鈴木さんの反応が悪いので「いま決めてくれたらおまけするよ」(他社の内定を辞退していま決めてくれるならもっと良い条件を出す)と話しています。A社の店員はなぜ、鈴木さんに固着するのでしょうか?

実はそろそろ当月の売上げを確定したいと思っていました(採用数の充足)。売上げを確定する際に大切なことは確度を上げることです。お客様が買うか買わないかの意思を確認することです。「お客様はお金をもっているかな」「お客様のニーズはなにかな」。そんな時に、店員は鈴木さんを見つけました。鈴木さんは誰もが羨むブランド物の財布をもち充分なお金を持っています(出身大学が良い)。店員は「絶対に鈴木さんに買っていただこう。でも鈴木さんだけを相手にしていたら他のお客様からクレームになる。接客をするフリをしよう」(厳選採用のしているフリ)と考えます。

企業が狡猾になるのは当たり前です。ビジネスですから良質な客を捉まえようとすることは当然のこと。人気商品で需要(応募人数)が供給(採用定員)を圧倒的に上回っていればお客様が商品(内定)を手にすることはできません。商品が手に入らないことを憂いでも仕方が無いわけです。

本来であれば、商品を手に入れるための手段を考えることが望ましいはずですが、やっていることは、お店に商品を売ってくださいと懇願する手紙(エントリーシート)、店員と会う際に良い印象を持ってもらうための演習(面接官トレーニング)、さらには本当にこの商品が欲しいかを改めて分析する自己分析なども流行っています。まったく本質的な課題解決にはなりません。

■結局なにが必要なのか
最近、エントリーシートは「手書きが良いかパソコンで作成したものが良いか」が議論になっていましたが、パソコンで作成し内容もコピペのもので充分でしょう。手書きだと丁寧に見えますが単にそれだけのことです。手書きにすることで労力以上のメリットを獲得することはできません。

売られている商品には賞味期限があります。商品を購入するための戦略と戦術を考えましょう。「戦略と戦術」の意味を取り違えている人がいますが「競合に勝つプランが戦略」で「プランを実行する施策が戦術」です。商品を入手するための最短で効果的なプランを考えることが必要になります。

尾藤克之
経営コンサルタント
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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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