過渡期の韓国が向かうところ

2015年05月22日 11:49

韓国問題に私がかつて以上に興味をもっているのはカナダでの慰安婦問題に直面しているからであります。本件をいかにして収めるか、非常に重要な課題を抱えており、やり方次第では日韓関係のみならず、日系社会内部の亀裂、カナダとの関係への影響もあり、慎重に対応を進めながらベストのソリューションを模索しています。

その中で大所高所から見た韓国を知らなければ戦略も間違った方向に進むでしょう。私は数ある情報の匂いをかぎ取るようにしながら方策を考えています。


そんな私が今、感じていることを正直申し上げますと日韓関係がこの数か月で変わってきているということでしょうか?多分、あと数か月でもっと色合いが変るとみています。それは何度も申し上げているアンビバレンス、つまりひとつの事象に対して相反する考え、感情が無意識に存在する状態にある韓国に於いて慰安婦問題に端を発した嫌日スタンスからそれはもう止めて少し落ち着いて考えた方がよいという流れが政府から国民レベルに浸透してきているからです。

今、韓国は自信を無くしています。特に昨年のセウォル号沈没に端を発して政界、財界、社会面すべてに於いて逆風が吹き荒れています。そしてそのどれもが目先の事件ではなく韓国社会の根本に原因があるものが多いのです。

私が特に注目しているのが財閥主導の韓国経済の暗雲であります。

サムスン電子のイゴンヒ会長はある意味、5000万人の韓国を経済のみならず自信あふれる国として支え、社会の方向性を作り上げたと言ってよいでしょう。エリートはサムスンに入社する為に家族が一体となり全てをささげ、子供の入社が決まれば代々言い伝えられる誉であり、極論すれば現代版科挙の合格のようなものでありました。

そのゴンヒ会長が14年5月に病に倒れ、実質的指導者は長男のジェヨン氏に移っています。しかし、この1年間、サムスンにかつての輝きのあるニュースはなかった気がします。ヒットしなかったギャラクシー5を受けてS6が出ますが、その内容を見る限り、開発センスが違う気がします。

いわゆる財閥主導の韓国には批判が多く、また、韓進グループ率いる大韓航空ではナッツリターンで会長の長女が実刑判決となっています。韓国の経済は主要財閥が自分たちの力を競い、その財閥にあやかろうとする国民が一体感を示した時は良かったのですが、財閥に対する反発が増えてくると正にアンビバレンスになってしまうのです。

日本でも最近は大企業よりも新興企業が幅を利かせ、新しい価値を生み出したものを大企業が導入する流れが増えてきています。自動車業界でもトヨタが富士重工やマツダと提携するのは小が生み出す独自性が大企業では生まれにくくなってきているともいえるのではないでしょうか?それが韓国の場合、10大財閥がGDPの7割を生み出すわけですからその影響力は破壊的ともいえるのです。

そんな韓国を見ていると慰安婦問題の解決が日韓改善の前提と言っている時点で時代錯誤であります。残念ながらこの問題は根本的には解決しないとみています。解決しない問題に解決を求めるなら日韓関係は永遠に解決しないことになります。安倍、朴両氏がトップに立つ限りにおいて両首脳が会談することもなくなってしまいます。しかし、韓国にとってそんな論理を展開している場合でしょうか?中国は賢く日本との両面展開を図り始めました。

やや驚きの対応だったのが最近の二回にわたるニューヨークのメディア記事であります。それはニューヨークの韓国人ビジネスに賃金支払いなどで法的に疑義がある様なケースが目立つといった趣旨ですが、特定国の特定問題を比較的近い時期に続けて報道したことはアメリカ内での韓国に対する目線も変ってきていると見て良いのではないでしょうか?

過渡期の韓国が向かうべき方向とは新世代が過去に縛られ過ぎることなく新しい国づくりを目指すことではないかと思います。残念ながら年上を敬うそのスタイルは日本のそれよりももっと厳格であるがゆえに保守そのものになりがちです。しかし、今、変らわなければ世界最低水準の出生率が作り出す人口減、優秀な人の海外流出(Brain Drain)、そして高齢化社会に突入した時の社会システムの麻痺でありましょう。

私は慰安婦問題にかまっている場合ではないと思っています。もっとやらなくてはいけないことが韓国には山積しているはずです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本 見られる日本人 5月22日付より

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