まず高齢者向けサービスから電子・IT化。エストニアの逆転の発想

2015年05月08日 00:30

欧州視察4ヵ国目、エストニアに突入です。


こちらは残念ながら日帰り滞在ですが、非常に勉強になりました!
まさに目からウロコの連続。

欧州視察の記事はコチラから。
http://otokitashun.com/tag/2015%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E8%A6%96%E5%AF%9F/

エストニアの国土は九州程度、人口わずか140万人ほどの小国ですが、世界で最も「電子政府・電子行政」が進んでいる国として知られ、現在世界で唯一国政選挙で「ネット投票」を行っている国家です。

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「結婚と離婚、銀行口座の開設、不動産売買以外はすべてネットで完結できる」

と言われており、ほぼすべての行政サービスはITを通じて提供され、またその情報の透明性・安全性・信頼性は高く維持されています。そして

「我が国では、綺麗な空気とWi-Fi(ネット)は無料だ」

と政府がスローガンとして掲げているほど、国内におけるインターネットの利用が普及している国でもあります。

行政サービスの効率化など、本当に多くの点で学ぶべきことがあるのですが、本日はその中でもやっぱり我々が注目する、「ネット投票」についてご紹介します。

以前の記事でもご紹介したとおり、もはや技術的な面ではネット投票に対する懸念はほとんど払拭されています。

「ネット投票」が実現しない、たった一つにして最大の理由&その解決策とは?
http://otokitashun.com/blog/daily/5772/

唯一問題として残っている「秘密投票の権利」についても、エストニアでは

「期間中であれば、何度でも投票先を変更できるシステム」

の導入によって、他者からの強制などの不正を防いでいるようです。
しかしながら最後の最後の点、

「投票結果を集計する政府が、不正・操作を働くのではないか?」
「IDを遡って、誰が誰に投票したのか監視しているのではないか?」

という疑念を消し去ることはできません。つまり結局のところ、ネット投票を導入できるかどうかは「政府への信頼度」で決まるのです。

まあ投票結果の操作などは紙の投票であろうとも政府(選挙管理委員会)が不正を働くことはできますし、我が国では選挙の度に不正選挙を騒ぐ人々が一定数存在します。

このように「政府が信頼されていない状態」でネット投票を導入することは、極めて難しいといえるでしょう。

ではエストニアではどうだったかというと、そこまでの道のりは決して平坦なものではなかったようです。
様々なネット化を進める中で、ネット投票への抵抗は特に根強いものでした。

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そこで彼らが取り組んだのは主に3つ。

1.民間と協力して活発な啓蒙活動、レクチャーを実施
2.できうる限りシンプルなシステムを構築
3.高齢者向けのサービスから優先的に電子化、ネット化を促進

特に興味深いのは3つめの取り組みです。
やはり彼らにとっても一番の不安材料は、高齢者対策でした。

「ネットで投票なんてやり方がわからない」
「そんなものでは投票した気にならない、信用できない」
「私の個人情報をどうするつもりだ!」

年配の方でも使えるシステムを作るために開発チームに敢えて最もネットリテラシーが低い高齢者世代を入れるなども行いましたが、システムだけでは意識を変えることはできません。

そこで彼らは電子行政を進めるに当たり、まず敢えて高齢者向けのサービスから積極的に電子化を進めました。

医療や福祉、生活に関わるサービスが、インターネットで便利に早く、確実に提供される。
それでいて、個人情報も完璧に保護され、問題も起こらない。

こうした取組みで少しずつ高齢者の方々が「ネットに慣れていく」ことで、電子投票への抵抗を薄めていき、最後は導入に合意を得るところまで進めていったとのこと。

そして実際に導入されたネット投票の利用者の中で、一番多いのはなんと55歳以上の高齢者になったそうです。

これはまさに、逆転の発想でした。
日本ではとにかく

「高齢者の方はネットに疎い」
「今さら利用するなんて難しい」

という先入観があり(そして高齢の政治家がネット嫌い)、現存のやり方を変えることを極端に嫌がります。
しかしそれでは、物事は前に進みません。

「シンプルな仕組みと民間と協力した丁寧なレクチャーで、高齢者層も必ずネットによるサービスを使えるようになる」

彼らは自信を持ってそう言います。
証拠に、エストニアのシステムを使った電子投票の様子をご覧ください。

本当にわずか30秒!
パソコンにカードを差して選ぶだけです。

こうした示唆を受けて、私がかねてから提言していた

「まずシルバーパスを電子化・IC化を!」

という主張は絶対に正しいことを確信しました。参考→ http://otokitashun.com/blog/togikai/5071/

自分にもっとも身近で利用するものを便利に変えていけば、必ず高齢者のリテラシーも向上し、社会は変わっていくはずなのです。

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説明をしてくれたアエト情報局長(中央)は、弱冠32歳。
若い世代に積極的に権限を委譲したことも、エストニアの成功要因の一つと言えそうです。

この電子行政サービス導入のステップについては、視察での知見を元に次回の定例会でしっかりと提言していきたいと思います。

高齢者のみならず若者も「政府への信頼」が低い我が国ではまだまだネット投票までの道のりは遠い気はしますが…不可能ではないはずです。

他にもエストニアから学んだことはまだまだあるので、帰国後にシリーズ化して再びレポートするかもしれません。

いよいよ視察日程も残すところフィンランドのみ!
それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。

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おときた 駿
東京都議会議員(北区選出)

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