新卒で職種別採用を行うことは就活生に不利に働く

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日本では新卒採用で就職をすると、どこに配属になるかわかりません。営業を希望していても経理になったり、総務を希望していたのに財務部に行くなど様々なパターンがあります。一方の海外では職種別採用が当たり前であり、日本の企業の中でも職種別採用を行うところが徐々に増えてきました。

しかし新卒採用が職種別に変わっていくということは、学生にとってプラスなのでしょうか?私は今の大学生にとっては不利に働くと思っています。職種別に採用するということは、高い技能を求めるということでもあるからです。

上記はあるまとめサイトへの私のツイートなんですが、まとめサイト内にはこのような言葉がありました。

新卒カードって言葉があるだろ?
これは言い換えると、『あなたにはまだ何の経験もスキルもないけれど、当社はあなたの将来の可能性に投資します』ということだ

これはまさにその通りだと思います。新卒というのは使えるかどうかわからないしどう成長するかわからない、けれども可能性にかけて採用するというものです。だからまだ最初は適正というのもわからないので、テストの結果や面接などでその適性を推し量って配属させます。ですから失敗することも当然あると考えて採用しているはずです。

ある意味で新卒採用は非常に甘いとも言えます。可能性にかけて採用されるのですから、大学時代遊んでいても会社で働きながら学んでいけばいいという免罪符でもあるわけです。だからこそアルバイトやサークル活動などで頑張った、という仕事に役立つのかどうかわからない点をアピールするわけです。

実際、22,3歳で何が最適なのかというのは判断は難しいと思います。だからジョブローテーションを行って、自分の得意分野などを見つてほしいというのが、現在の新卒採用の狙いではないでしょうか。ただその狙いが学生からすると「希望していた配属と違う!」というようになる怖さがあるのでしょう。

この学生の思いが企業側に届いたのか、新卒の職種別採用は日本でも行われはじめています。こちらのサイトでは職種別・コース別採用の新卒採用企業一覧が載っていますが、サントリーや旭化成グループなど大企業も職種別採用を行っているようです。

しかし職種別採用が行われるということは企業としては採用の失敗が難しくなる可能性があります。採用してもし使えなかったら配属を変える、ということが出来なくなるからです。そうなると見極めが非常に厳しくなるでしょう。「この学生は営業に向いているのか?総務に向いているのか?」など、見る目が厳しくなる可能性があります。そうなれば学生も準備をしっかりと行わないといけません。

今までのように学生時代に頑張ったことなどを話すのではなく、いかに自分がその職種に向いているかをアピールする必要があります。営業なら社交性や実際に物を売ったりした経験などが大事になるでしょう。転職では自分自身が過去にどういった実績を積んできたかというのを話すのは当然になっていますが、それと似たようなことを要求される可能性があります。

つまり学生時代にコンパをして、遊んで、酒を飲んで、バイトをして、恋愛をする、だけでは採用されなくなっていく可能性が高くなるのではないかと思います。今後はインターンシップなどを1年くらい経験して、実際に営業で販売したとか、総務・人事で採用のアシスタントを行ったというような実績が必要になってくる可能性があります。現に海外では新卒採用の場合、最初は無休(薄給)インターンシップから社員になるパターンが多いと聞きます。

一生懸命下積みを行っているような学生にとっては職種別採用は朗報でしょう。しかしそれ以外の大多数の一般大学生にとっては、職種別採用が本格化すれば就職できない人がたくさん出てくる可能性もあります。もちろんインターンシップがメインになる可能性もあるでしょう。どちらにせよ、学生は私が大学に通っていた時のように遊んでばかりいられず、企業から要求される水準が高くなるんじゃないでしょうか。