韓国の弱り目に祟り目

それにしても韓国の朴大統領もつくづく運のない人だと思います。よくもこれだけ次々と国内問題が起きると思いますが、問題の噴出は社会システムの不整合にあるわけでその箱がたまたま朴大統領の時に次々と開いてしまったというべきなのでしょうか。


MERSは特に余計でした。中東を訪れていた68歳の男性が韓国に帰国後潜伏期間を経て発病、その間、4つの病院に行っていますが、最初の3箇所で中東を訪れていたことを言わなかったことで2次感染を増やした可能性があります。また、国内の感染対応がしっかりしておらず、余計混乱をきたしているというのが印象です。

日本でこのような問題が生じた場合は官民一体感をもって問題解決を図る傾向があります。民間会社が薬やマスクを開発するなど商魂たくましいかもしれませんが、それで状況が緩和するなら結構なことでしょう。ところが韓国の場合には政府への痛烈な批判が先走り、責任所在の追及を優先としていないでしょうか?

ソウル市長の情報公開に関する政府との対立構図にもその一端を見る気がしました。セウォル号の時もそんな印象を持ちました。それよりも抱える問題をまずはどう抑えるか、それが先に来るべきだと思います。

韓国経済の落ち込みはかなり厳しいものになる気がします。バーナンキFRB前議長が5月27日にソウルで金融フォーラムに参加した際、「韓国経済の規模を維持するのが難しくなっている」とコメントしてます。その中で為替制度が完全なる変動相場ではないことを指摘しています。日本が一時期、為替介入で為替誘導を行っていましたが、アメリカからの厳しいクレームでほとんど止めた経緯があります。ところが、韓国の場合にはアメリカなどから執拗に指摘されても直してきていません。それは「未来の健全さより今の水」を欲しているともいえます。

では、ゼロ金利、量的緩和という話にもなるのでしょうが、韓国ウォンがゼロ金利政策で安くなると短期の外国からの債権が引き上げられる可能性が示唆されています。また、韓国企業は銀行などで外資による所有が目立ち、財閥系、例えばサムスンですら外資が52%を握る状態になっています。ウォン安は配当金の目減りとなりますから好ましくないでしょう。そんな理由もあるのか、韓国の金融政策は中途半端という感じがいたします。

個人的には李明博元大統領の輸出大国推進策が間接的に祟った気がします。韓国は先を行く日本と急追する中国に挟まれる中、人口が5000万人と内需型経済を振興するには十分ではないという判断から輸出をその産業基盤と据えました。

ですが、歴史的には輸出力は安い労働力のもと、製品が安く大量に出せるところに意味があります。日本が繊維、鉄鋼、自動車などで作り上げた実績、あるいは2005年に繊維製品のクォータ撤廃により中国製繊維が津波のように世界の市場を席巻したような時がよい例だと思います。

李前大統領は2008年に「747公約」と称する年7%成長、10年以内に国民所得4万ドルと世界7大大国入りを標榜しました。これは常識的に考えれば輸出型国家から内需主導に切り替えていかないと達成不可能なはずだったと思います。理由は輸出が伸びれば賃金が上昇し、より高付加価値の商品を作り上げない限り輸出競争力が低下するからです。そのため通常は内需主導に政策をシフトして国家としての富を形成するよう変えなくてはなりません。

ところが中国の追い上げもあり、うまく機能しなかったことがこの国が厳しくなっている理由の一つでしょう。いや、それ以上に韓国は有能な人材が海外に流出する「頭脳の輸出」をしてしまいました。韓国教育制度と徴兵が主たる理由でしょうか?

朴大統領は経済政策云々する前に目の前に次から次へと起きる問題の解決に時間が取られ受け身の対応がずっと続いていることも懸念材料の一つです。私が気になるのは韓国で問題が起きれば常に朴大統領が出てくるのですが他に人はいないのでしょうか?同国の憲法では首相の役目は大統領の補佐となっており、ある意味、大統領に権限が集中しすぎているため、対応しきれていないのが実態だと思います。

本来であれば会長役の大統領と社長役の首相で顔を使い分け、国内は首相が実務を抑えるのが理想的だと思います。その首相は1948年から数えて現在43代目が辞めたところですが、その間、首相代理が22人、権限代行が5人、内閣首班が4人、臨時代理が1人と非常に多くの「中継ぎ」が関与しています。首相2代で1回は首相の代わりが入るという実に奇妙な状況が当初から続ているのです。全部合わせれば延75人となり建国67年としては政治が如何に落ち着いていないかをよく表していると思います。

韓半島の不安がこの先のテーマとなるのは日本にとってもあまり好ましくないでしょう。とても気になる状況であります。

今日はこのぐらいにしておきましょう。