「学校を再生する技術」で「企業を再生する」

2015年06月13日 16:16

最近、学校が荒廃しているニュースを眼にすることが多くなりました。校内暴力、イジメ、自殺や凶悪犯罪も発生しています。企業内でも悪質なイジメやパワハラが横行して深刻な社会問題になっています。


「校長先生、企業を救う」(日本実業出版社)の著者である、長野雅弘氏(以下、長野)は現在、聖徳大学付属取手聖徳女子中学校・高等学校の校長であり、聖徳大学教授としても教鞭をとっています。またこれまで多くの学校や企業を再生した実績のある教育者としても知られています。大変興味深いことは、学校を再建してきた実績が評価されて、企業再生の依頼がくる点です。今回は、企業を再生するヒントについて伺ってみました。

●最初に再生させたのは衣料品メーカー

—企業再生のきっかけになった出来事を教えてください。

長野 契機は船井総合研究所からのセミナー依頼でした。同社は日本を代表するコンサルティング会社です。その会社が私にセミナー依頼をしてきました。教育者の話が企業経営者に通じるか不安がありましたが、好評だったせいか何回かセミナーは開催されました。その後、評判が口コミで伝わったようで校長室を企業経営者が訪れるようになりました。

—最初に実施した企業再生はどのようなものでしたか。

長野 ある衣料品メーカーから「閉塞感を打ち破り、万年業界中位という現状を脱したい。成長する企業になりたい」と相談をうけました。まず、状況を観察したところ、社内の現状に社員が不安を抱え続け「デキル社員」が次々と離職して更なる閉塞感におおわれる悪循環に陥っていることがわかりました。

そのメーカーはあらゆる衣料品を手がけていました。広く展開しているのですが、どれも今ひとつでパッとしない。そこで原点に立ち戻って特化することを勧めました。私はコンサルタントを生業にしているわけではありませんから「よろしかったらどうぞ」と言うにとどめました。ところが原点回帰した結果、一気に業界トップに躍りでて、今ではまったく別の事業に挑戦するほど組織が変容しアグレッシブな会社になっています。

●再生が成功する企業の特長とは

—再生が成功する企業にはなにか特長があるのでしょうか。

長野 「やる気」を失わない企業は強いと思います。企業経営、組織運営において、組織に所属するメンバーのやる気が重要です。そして「心のロウソク」に火を点すことです。心のなかにロウソクを持ち、その火が消えない限り難題に直面してもミッションを完遂しようと考えることができます。

そして、社員の心のロウソクが燃えていれば、会社は目標に向かって迷わず進めるはずです。そのロウソクを燃やす力になるものが「やる気」だと考えています。組織とは多くのメンバーが集まりつくられていくものです。心のロウソクが消えてしまったら頑張ることはできません。

—心のロウソクを点す方法を教えてください。

長野 まず大切なことは「気持ちを引き出す」ことです。「なにをしたいのか」「どうしたいのか」を、とことん掘り下げて聞けば本人の口から具現化したいことが語られてきます。あとは上司や管理職が具現化できるようにサポートすることです。そして方向性が見えたら「とにかく実行する」のみです。すぐに行動することで効果を高めることができるはずです。

私は校長として、部下である教師や生徒たちに愛情をそそいできました。「ダメな子」はいません。それは企業の部下も同じことだと思います。「ダメな部下」などいないのです。そのように思い真摯に接すれば、部下は応えて結果となりかえってくるはずです。

—ありがとうございました。

尾藤克之
ジャーナリスト

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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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