心が折れそうだなと思った時に読む話 --- 城 繁幸

2015年06月25日 13:52

今週のメルマガの前半部の紹介です。

先日のことです。「海外派遣された自衛官の自殺率は一般国民の10倍」という話が大きな波紋を呼びました。ちょうど安保法案も議論されているタイミングでもあり、関心を持った人も多かったのでしょう。

ただ、「ちょっとその数字はないな」というのが筆者の率直な第一印象でしたね。確かに海外、それも戦地への派遣は肉体的にも精神的にも負荷はかかるでしょうが、人間はそうした外部からのプレッシャーには相当打たれ強くできているというのが、筆者のかねてからの持論です。

というわけで元ネタを当たってみれば、なんのことはない。イラクから撤収後の10年間ほどの累積数を国民一般の1年間の数と比較しちゃってるんですね。そりゃ十倍になりますね。「チェルノブイリ原発事故の作業員のべ86万人のうち既に5万人が亡くなっている!」という引っかけネタと同じようなものです。※

「それでも10万人あたりの年間自殺者数は国民一般より1.5倍も高いじゃないか」という反論もありそうですが、母集団を男性に限ればほぼ同じはず(男性の自殺率は女性の約2.5倍以上あるため)。そういう意味では、母集団を同性、同年齢幅でそろえたこちらの数字がより正確に実態を表したものだと言えるでしょう。

とはいえ、自殺問題が日本の抱える重大な問題だという点に、筆者も異論はありません。メンタルトラブルに限ってみても、「心の病」は減少傾向にあるとする企業が7.8%である一方で、増加傾向にあるとする企業は実に37.6%に上ります(日本生産性本部 第6回「 『メンタルヘルスの取り組み』に関する企業アンケート調査結果」より)。

というわけで、今回は企業とメンタルトラブルについてまとめてみたいと思います。個人のキャリアを考える上でも、避けては通れない重要な視点が得られることでしょう。

それを失うと、人は壊れやすくなる

しばしばメディアでは「過重労働やプレッシャーでうつ病などのメンタルトラブルが増加している」といった論調が見受けられます。実際、そういうロジックの方がわかりやすいのでそういう論調を採用するのは仕方ない面もありますが、現実にはそういうわかりやすい構図はむしろ少数派です(普通、過重労働では心が折れる前に体が壊れます)。

では、どういう場合に人は壊れやすいんでしょうか。それは、その人が「目の前の仕事に対する前向きな姿勢を失った時」だというのが筆者の意見です。たとえば、ボクシングの試合で、劣勢に立たされた選手がなおも相手に立ち向かおうとするのはなぜでしょうか?それは、そこに希望があるからです。

仮に5ラウンドの時点で判定負けが確定したとすれば、その後のラウンドも相手とグローブを交えようと思うでしょうか。普通の人間であれば、痛い思いをしてまで試合を続けようとは思わないでしょう。棄権しないにしても、いいパンチが一発くらい入った時点で、立ち上がれないでしょう。なぜなら彼にはもう希望が無いからです。

今度は、オフィスで想像してみてください。何らかの事情で、あなたはもう出世レースからの脱落が確定し、どれだけ頑張っても一時金がちょこっと上積みされるくらいの報酬しか得られないとします。ルーチンワークだけならその状況でもこなせるでしょう。でも、プロジェクトが非常に困難な状況に陥って死に物狂いでリカバリーせねばならなくなったら。あるいは、辞令でまったく未経験の部門に異動してゼロから業務を覚えねばならなくなったとしたら。果たしてあなたはリングに向かうことが出来るでしょうか。

筆者が常々言っているように、終身雇用型組織における幹部候補選抜は30代半ばで行われ、そこで漏れてしまった人は、多くがキャリアパスが断絶することとなります。希望が失われてしまうわけですね。

先の日本生産性本部のメンタルトラブル調査では、同時にメンタルトラブルの目立つ世代についても調査しています。結果、30~40代が突出して多いという結果となっています。まさに希望が失われてしまった世代に集中していると言っていいでしょう。

※どんな国でも、成人男性を15年後に追跡調査すれば一定数は亡くなっているものだ。

以降、
「心が折れる理論」は人事部の常識
こんな時に心は折れる
心が折れない働き方

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Q:「情報収集の方法について教えてください」
→A:「なんだかんだ言って、一番効率が良いのは……」

Q:「城さんは安保議論についてどういうご意見ですか?」
→A:「そもそも平和憲法自体がフィクションですから」

+書評「絶歌」

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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2015年6月24日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった城氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。


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