新国立競技場着工は地球人の共生プロジェクト --- 松田 宗幸

2015年07月19日 10:30

新国立競技場の国際デザイン競技募集要項は「地球人にとっての希望の象徴となるデザイン」と定義されている。未来の都市形成を目指す中で環境共生は欠かせないキーワードであるが、都市部の気温上昇を抑制し、生態系ネットワークを助けながら、持続可能な都市基盤環境を実現する為には光・風・水・緑の道を確保する事が重要となる。

Zaha Hadid Architectsが提案したプロジェクト案の最大特徴はスポーツの躍動感を思わせるシンボリックを極める流線型にある。シンプルで力強いアイデアの構造体は、背景となる新宿の高層ビル群、近郊の自然環境との架け橋となる空間接続のバランスも考慮され、周辺住民と生態系ネットワークへの環境も配慮されている。

騒音設計された可動式屋根はコンサートやカンファレンスなど文化利用時の祝祭性に富んだダイナミックな空間演出が可能となり、大胆な建築構造がアリーナ空間の高揚感、臨場感、一体感を際立たせる強靭さと経済波及効果を兼ね備えた、構造論理に裏づけられた圧倒的造形性が最大訴求ポイントであろう。

2020年夏季オリンピックの開催国を競ったイスタンブールや東南アジアなど世界の主要都市の巨大橋梁は、ほとんどが世界最高峰の日本のゼネコン技術でその実現をみる。新国立競技場の橋梁とも、甲冑の兜飾りともゆうべき、先人から積み上げられてきた技巧象徴的なアーチ状主架構造の実現は、古来から現代にいたる日本文化の「礎」と建設技術とデザインの「枠」を尽くすべきものでもある。

過去の競技場にない自然採光、自然換気、太陽光発電、地中熱利用、中水利用、雨水利用など様々な光・風・水・緑の道を確保する環境配慮型クーリングシステム採用も、世界最先端の日本の優れた建築、環境技術を信頼し、世界に発信できるプロジェクトであると高く評価され、Zaha Hadid Architectsは最優秀案となった経緯がある。

経営論理では新国立競技場デザイン決定段階「円高不況前政権時代」に1300億円と見積もられた予算は、「円安好況現政権時代」に実質議論で積算されれば必然的に資材および輸送および人員コスト高となる。 裏返すと「官に納められた金」が工費が跳ね上がる事により「民に収められる金」として増える。オリンピックという世界的スポーツイベントが行われる2020年のメインスタジアム着工により、GDPが持続的に底上げられ、周辺エリア消費も活発化すれば、結果として日経平均株価に還元される事にもなる。

現在時点で積算されている2520億円予算をトヨタ自動車一社の決算としてみれば、売上高27兆2345億円の0.92%の経費率に過ぎず、P/L、B/Sでは長期減価償却されていくことになる。日本のGDPや国家予算に対しての経費基準性や造形訴求性、環境配慮性といった総合的な「地球人の共生プロジェクト」という大局観点よりも、積算額面単体が先走り政党間の政局性の駆引きに使われている。

信用不安による中国株暴落が、このわずか1ヶ月で380兆円を損失したマーケットの状況を踏まえ「地球人にとっての希望の象徴となるデザイン」定義における未来性、技術性、意欲性を判断し、創生的で躍動的なチャレンジ性に主眼をおき邁進し、日本のプレゼンスを安定的に高めていく事がより重要な事項であり、構想を着実に実現させる遂行能力が、日本に対し世界が求める信用といえる。

松田 宗幸
㈱Mホールディングス 代表取締役 CEO
Marketing Creative Director ・ Mixed Martial Arts Artist.
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