「閣議決定」をすると何が変わるのか

2015年08月08日 04:00
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最近、ニュースで「閣議決定」という言葉を耳にします。閣議決定とはどのような状態のことをさすのでしょうか。

●閣議決定とはどのようなものか
政府の意思決定をするための会議を閣議といいます。首相及びすべての閣僚の意思決定手段のなかで最も位置づけが高いのが閣議決定です。政府としての統一見解になりますから、閣議決定は全閣僚の意思統一が原則です。反対をする閣僚がいたら閣議決定はできません。閣議決定された閣議書には花押をおし皇居・御座所に送られます。テレビなどで閣僚が一堂に会している光景が映ることがありますがそれはおもに「閣議」の光景です。

閣議決定をする際に反対をする閣僚がいたら、罷免したうえで閣議決定をおこないます。最近では、普天間基地移転の対応をめぐり当時の鳩山由紀夫首相が、福島瑞穂行革相を罷免したケースがあります。また、郵政解散の際には、島村宜伸農相が解散詔書に関する閣議決定文書への署名を拒否して辞表を提出したところ、小泉純一郎首相は辞表を受理せず罷免をおこないました。

これは取締役会に例えると分かりやすいと思います。会社法上、取締役会は業務執行と決定をおこなう最高意思決定機関として位置づけられます。取締役会の議決には取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行いますが、最終的な決議は全会一致で決められることが多いと思います(日本では社長に反対意見を述べることはまず考えにくいので全会一致です)。

●閣議決定の効力は
閣議決定は内閣の意思を示すという点で重要な決定と考えられています。しかし、実際には内閣の意思を閣僚間で確認し決定したに過ぎません。法律として制定するには国会の承認を得なくてはいけません。内閣の意思決定のみでは法律として制定されていないので国会で否決されれば法律は制定されません。

また閣議決定は政権が変わると簡単に覆ります。民主党政権下において、与党は単独で308議席を確保していましたから、鳩山内閣は郵政民営化の見直しを閣議決定し白紙撤回をおこないました。現在は、自公で過半数を占めていますので法律を制定しやすい立場にあるといえます。閣議決定した内容は憲法に特別の定めのある場合を除き、衆参両院で可決したときに法律となります。

「内閣が○○について閣議決定をした」と報道があった場合、それは「法律を制定するための強い意思を表明する」と伝えているわけです。いまメディアで報道されている70年談話についても閣議決定をすれば政府としての公式見解になりますし、閣議決定をしなければ私的な考えを反映したという意味になります。その内容に加えて閣議決定の有無について注目が集まっています。

●尾藤克之
ジャーナリスト/経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業の役員等を経て現職。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など。
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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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