「営業マンは自分を売り込むべし」説は本当か?

2015年08月17日 05:00
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「営業マンは自分を売り込むべし」。営業経験のある人なら上司から一度は言われたことがある台詞でしょう。今回は「営業マンが自分を売り込むことの意味」について考えてみたいと思います。

お話しを伺った、佐藤康行氏はこれまで多くの事業を手掛け、1980年に創業したレストラン「ステーキ のくいしんぼ」(現在は経営権譲渡)は、最高期で年商50億円を達成しています。その時の経験をもとに開発されたメソッドは国内外で幅広く導入されています。

●自分を売る本当の意味

佐藤康行氏(以下、佐藤) たしかにセールスの本には、よく「自分を売り込め」って書いてあります。セールスマンにとって商品を売り込むのは一番の初歩です。それと比べれば自分を売り込むことは一歩進んでいると言えます。しかし、よく考えてみてください。本当に自分を売り込むことが良い方法でしょうか?お客様からすれば、セールスマンがよほどの美男子か美女か専門性がない限り、最初から「あなたを買います!」とは思いません。そんなことよりもはるかにお客様が喜ぶ方法があります。

それは、お客様にお客様自身を売り込むことです。誰もが最も関心があるのは自分のことです。みんな自分に一番関心があります。集合写真で最初に探すのも自分の顔ですね。ですから、お客様にお客様の話をすれば絶対に飽きることなくいつまでも話を聞いてくれるものです。そのためには、セールスマン自身がお客様に関心をもたなくてはいけません。

—わかり易い事例などがあれば教えてください。

佐藤 あなたが、研修会社の営業マンだったとしましょう。大手企業であれば既に競合他社を含めてかなりの研修商品が導入されているはずです。そこで「この研修は他の研修と比べてこれだけ優れています」「○○大学心理学部の△×先生に監修をいただいています」と説明しても採用されるには未だ足りません。それよりも「この研修を導入いただければ業界では初めてのケースになります。かなりインパクトがありますね」「この研修を導入したA社の部長は社内でも高い評価を受けて半年後に人事担当役員に就任しました」など、お客様が自分に投影してイメージし易い話をしたほうが効果的なはずです。

●情景の浮かぶストーリーをつくる

佐藤 相手の欲しいところに手が届いてイメージをさせるのです。間違ってもウソやお世辞は言わないこと。自分が見て正しいと思うことを言うことで信頼関係が築けるはずです。これは見たり感じたりする能力ですから五感をフルに動員する必要があります。先ほどのケースであれば、社内での評価を気にしない人はいませんから、そこに結びつく話をしたほうが喜ばれるということです。相手が社内で評価されて昇進昇格をするためのシナリオを描いてあげれば更に関係性は太くなるはずです。

—この理論は他にも応用がききそうですね。

佐藤 私が宝石のセールスをやっていた時、私以外のセールスマンはこぞっていい商品を持っていきました。私は後ろでジッと見ていて一番最後に残った商品を持っていきました。まわりは「カスの商品」と思っていたことでしょう。それでも私はいつもみんなの数倍の売上を上げていました。

実はみんなが持っていったのは自分の好みであってお客様の好みとは違うのです。その代わり私は商品一つ一つのエピソードを調べていきました。「この宝石は何億年もかかってできるものなんです」「ローマ帝国の時代であればこの宝石一つでお城と交換できたそうです」「お金は使ったら無くなりますが宝石は代々引き継ぐことができます。素敵ですね本当に似合っています」。私は商品も売っていないし、自分も売り込んでいません。お客様にお客様自身を売り込んでいることが分かるのではないかと思います。

—ありがとうございました。

この機会に、ご自分の営業スタイルを確認されては如何でしょうか。

●尾藤克之
ジャーナリスト/経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業の役員等を経て現職。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など。
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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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