金価格から見る世界経済の不健全度

2015年08月20日 10:09

今さら輝きを失ったゴールドの話などどうでもよい、と思いたくなる今日この頃ですが、実はこのところNYの金相場はしっかりした足取りとなっており、専門家は目先更に堅調になるとみています。

資源価格が下落し、アメリカが近々金利を上げるかもしれないというのになぜ金の価格がしっかりしているのでしょうか?私には世界経済のふらつきが金相場に反映しているように感じます。

アメリカ経済。全般しっかりしていることには間違いないのですが、9月の利上げ可能性となるオッズは50:50。9月利上げがあったとしても精神論的な気配すらします。また、年内複数回の利上げを唱えていた筋も今やあっても一回とみる方が主流であり、利上げの難しさをここにきて実感するような状況となってきました。

様々な指標が毎日のように発表される中、月曜日にはそこまで注目されないはずのNY連銀地区製造業景況指数が予想より大幅に悪かったことで市場全体が弱気でしたし、今日発表になったCPIも期待に届きませんでした。一時の強気派はやや影を潜めた感じになっています。

この数週間でアメリカのマインドを変えたのはやはり中国の元、切り下げでありました。「それほど悪いのか?」との印象を与えたことは中国発の通貨切り下げ、ひいては新興諸国の経済が厳しくなる可能性を示唆し、世界経済が思ったように回復しないのではないかという連想を引き起こしています。

中国のGDP、本当はどのぐらいの成長率、というクイズをやったらこれほどばらつく予想はないと思いますが、少なくとも中国が目標とする7%を超えるアナリストの予想はまずなく、4-6%あたりが多く、ひどい予想になると1-2%というものまであります。

今後、経済学者の立派な分析と講釈が聞けるものだろうと思いますが、基本的には世界の工場として盛り上がった国内経済を次への成長路線のバトンに繋げられなかったのではないかと思います。これにはまたいろいろな理由が立つのですが、一言で述べると共産/社会主義体制のシステム上の限界だろうとみています。ソ連経済と基本的に合致するところは多いと考えています。(今や、ソ連経済を分析する学者は減っていると思いますが、この視点は重要なはずです。)

次にブラジルの悲惨とまで言える経済状況とルセフ大統領の一桁に落ちた支持率があります。週末のデモは全国200都市で88万人規模とのことですが、正直、経済の体をなさない状態になってきています。かといってルセフ氏は辞めるつもりはまだないし、オリンピックを成功裏に開催させることに力を注ぐつもりでしょうか。これではクーデターを含め、何が起きるか全く予想がつかない状態です。更にここにきてタイも怪しくなってきています。

それから問題が表面化していませんが、私はユーロ圏の力関係にもぎくしゃくするものが出てきそうな気がしています。いわゆるドイツ問題であります。ユーロ圏の一部からドイツ帝国の再構築との声が出ている中で南部諸国との足並みが揃わないのみならず、イギリス、フランスとの関係もどうなのかと疑問が出てくる可能性はあります。イギリスはEUに留まるかどうかの国民投票も控えています。ギリシャ問題はヤマを越えたところで今まで議論がなかったこの不満が出そうな気配はあります。

これら不安材料てんこ盛りの中で通貨とは何だろう、最も正直な資産は何だろう、と考えると案外金だったりするのでしょうか?また、カナダを中心とした産金会社はリストラを推し進めており、人員削減を含めたコストカットが今後、業績に反映してきます。産金会社は今だ配当をする余力を持っており、リストラで弱肉強食の買収合戦を繰り広げられる体力も十分あるとみています。

大手銀行の予想では金相場の回復は16年第2四半期頃としていますが、もう少し早い回復はあり得る可能性が出てきました。また底値を知らない銅などの資源もそろそろこつんと音がしてきそうな気配があります。今年中には底打ち宣言が出来るのではないでしょうか?

悪役となっていた資源価格ですが、永遠に下がるものもありません。そろそろ悪役交代となりそうな気配を感じます。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人  8月20日付より

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