7000万円の実行と責任

2015年08月21日 07:00
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国会議員の議員報酬が話題になることがあります。この扱いについては各メディアにおいて基準にかなりバラつきがあるので整理してみます。

以前、同じ番組に出演した際、杉村太蔵氏が「手取りが月70~80万円、また、手取りの他に、文書通信交通滞在費というものが毎月100万円支給される。毎月の手取りが70万円として、文書通信交通滞在費100万円を合わせると、年間で2040万円の収入を得ることとなる。任期が6年ある参議院議員の場合は、1億円2240万円の収入が、何もしなくても懐に入ってくる」とコメントをしていました。

●分かりやすく算出すると・・・
杉村氏のコメントは現職議員の肌感覚だと思うのですが、ここでは分かりやすく記載してみたいと思います。まず現在の議員報酬は「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」(平成二六年六月二七日法律第八六号)により規定されています。それによれば、1回生の国会議員でも129万4000円(月額)が歳費として支払われることになります。

さらに、国会議員は歳費以外に手当てを受けることになります。文書通信費が毎月100万円、期末手当(賞与)が年額635万円、立法事務費などの必要経費が月額65万円、JR特殊乗車券・国内定期航空券の交付や、3人分の公設秘書給与や委員会で必要な旅費、経費、手当て、弔慰金などが支払われます。また、政党交付金(政党交付金は各政党に支払われる)の一部が、各議員に支給されます。

これらの数字を合算すると次のようになります。
1.基本給1552万8000円(月額129万4000円)
2.期末手当635万円
3.文書通信費1200万円(月額100万円)
4.立法事務費780万円(月額65万円)
5.JR特殊乗車券、国内定期航空券(飛行機月4往復迄。例えば北海道選出の議員であれば、東京⇔北海道4往復として4万6000円×往復×4回=36万8000円×12ヶ月=441万6000円/年間)
6.秘書給与2100万円(政策秘書900万円、第一秘書700万円、第二秘書500万円と仮定)
7.政党からの支給 0~1000万円程度。
合計 67,094,000~77,094,000円(年間)

党内の役職によっては公用車も支給されますし、企業献金や政治資金パーティによる収入が加算されます。当選したばかりの一回生議員でも、単純計算でこの程度の金額を得ることが可能なのです。

●果たしてもらいすぎなのか
現行法では公設秘書は3名ですが3名では足りないので自費で私設秘書を雇うことになります。私設秘書の人数は異なるものの5名と仮定しましょう。経費を1人辺り400万円と試算して5名と考えても2000万円が固定費です。交通費や活動費等の経費を考えれば、給与分×2倍が消えることになります。

私設秘書に関わる経費は全て議員の自腹ですから大変な出費です。私設秘書の人数が多くなれば更に多くの経費がかかります。次の選挙に立候補するお金も捻出しなくてはいけません。人件費、選挙事務所費、光熱費、通信費、選挙運動用ポスターなどの印刷費や雑費など、数千万円は必要です。

また、スキャンダルが発覚すると、歳費を返納する旨を示唆する議員が出てきます。ところが歳費の国庫返納は、国への寄付行為にあたり公職選挙法に抵触するため認められません。過去において歳費の返納が認められたケースはないと記憶しています。また、多くの有権者は歳費の額を問題にしているのではなく、歳費に見合った仕事をして国家に尽くしてもらいたいと考えているのではないかと思います。

●尾藤克之
ジャーナリスト/経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業の役員等を経て現職。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など。
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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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