対案を出すと与党への擦り寄りと見なされる、国会と世論の謎風潮

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
今日は国政マターの安保法制のお話をば。


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蜂の一刺し(安保法案に対する修正案)
http://ameblo.jp/koutamatsuda/entry-12063761921.html

参議院に審議が移った一連の安保法案ですが、私の所属する日本を元気にする会は、新党改革と共同で独自の修正案を提出する運びとなりました。

詳しくは上記の松田公太代表のブログに記載されておりまして、政府提出の安保法案に「入口・中口・出口」で歯止めをかけるという内容です。

現状の政府提案では、自衛隊の海外派兵にあたる判断について「原則・極力」国会の承認を求めるに過ぎません。まずこれを、直接攻撃を受けた場合を除き、「例外なく」国会の承認を必要とすることで、総理の独断に『入口』で歯止めをかけます。

そして実際に自衛隊の海外活動が始まった後は、一定期間(90日)毎に活動継続の国会再承認を必要とするルールを定めます。
無用な活動を抑止し、早期撤収を図る機会を「中口」として設けていきます。

さらには「出口」として、自衛隊の海外活動終了後、専門機関・会議体によって活動の事後検証を行うことを法律で義務付けます。

こうした一連のハードル設定により、自衛隊の活動範囲・可能性を従来よりは広げつつ、安易な戦闘へと突き進む可能性を「国民(≒国会)のチェック」により防ぐという狙いです。

この対案提出が報道されると早速、一部の世論として

「安倍政権に擦り寄った」
「所詮自民党の補完勢力だ」

という批判が起こっています。
我が国の国会では、与党が提出した法案に「修正案(対案)」を提出すると、このような「擦り寄り批判」が起こるのがある種の風習としてまかり通ってきました。

なぜなら、修正案・対案を提出するのは何らかの形でその法案が可決されることを前提とするものであって、反対なら対案など出さずに廃案に追い込むべし!というのがあるべき姿とされているからです。

民主党などが対案を出さないのは、党内がまとまらないという事情もありますけれど、与党になびいたと思われて支持率が下がることを過度に恐れている側面もあるわけですね。

こうした謎の風潮が招いた我が国の現状は、ご案内の通りです。
なんですかね、この「対案を出したら負け」みたいな謎の空気は。。

野党は「反対!反対!」と唱えるばかりで政策論議にならず、結局は与党が数の力で押し切るということが繰り返されてきました。

私は、選挙で国民に信託されて政府を形成している法案提出者に対し、なんらかの形で対案・修正案を出していくことこそが、国会のあるべき姿だと思います。

実際に反対・反対と唱えるのは安易で気持ちが良いでしょうが、事態は何一つとして進展しません。政治とは、異なる意見の利害調整なのです。
それをしないのは、政治家・政党の責任放棄に他なりません。

このままでいけば、衆院での決定と同様に押し切られる安保法案に対して、さまざまな角度から対案をぶつけて議論を醸成していく。また、

「戦争法案」

であるという疑念を払拭して本質的な対話を行っていくという点で、私は今回の対案提出を大いに意味があることだと感じています。

また修正案が否定された場合、原案の採決については「Vote Japan」での割合投票を行いますので、ぜひこちらの議論にも参加をしてみてください。

安全保障法制について
https://votejapan.jp/themes/start/?thid=3

地方議会もそうですが、反対のための反対でいわゆる日本的な「野党化」をするのではなく、すべての政治家・政党・会派が提案型という形を目指したいものですね。

9月末までの長丁場になりますが、引き続き国会情勢にもご注目いただければ幸いです。

それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。

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