ブライバシー売りますか?

2015年09月13日 11:11

 ビッグデータ、IoT、Aiという、言葉に期待する風潮は、どうも想像以上に凄まじいものがある。先々週、一般財団法人インターネット協会が開催した、IoT推進委員会 第1回シンポジウム「IoT グローバルビジネス戦略シンポジウム」では、当初100名程度の参加者を予定していたのだが、短い告知期間にも限らず180名を超える参加申し込みがあった。会場の都合もあり、残念ながら全ての申し込みに応えられなかったが、無料のシポジウムにも関わらず当日のキャンセルも無い盛況ぶりだった。
 いまや、AiとIoTは、国の成長戦略の技術的キーワードであり、どこの省庁もこぞって関連の制度や予算を打ち出している。このシンポジウムでは、冒頭に後援である総務省と経産省から、関係現課の官僚による挨拶があったが、両省ともに具体的な制度の紹介がされた。
 さて、ここでIoTやビッグデータの普及においては、その情報の取り扱いが一つの課題であり、私はプライバシーに関する権利と保護という記事を、今年の5月にアゴラに投稿した。
 上記のインターネット協会のIoT推進委員会 では、IoTに係る社会実証実験等に取り組む予定で、私もIoT実証実験WGの座長として、この推進に係る。


 さて、現在IoTというと、もっぱら工場や農場の機器やセンサーをインターネットに接続して、効率的に云々という産業系の話が先行している。これは、ひと昔前ならは、FAなんていう言葉で、専用装置、専用アプリで構築されるクローズドなシステムだったものが、その基幹技術にインターネットプロトコルやIEEE802.15.4などのオープンスタンダードを取り入れることで、多様なアプリケーションにより生産性改善などに寄与しいてる。

 一方、インターネットは、旧来の電話網などの専用網から、自律分散、End to Endへというパラダイムシフトにより、大きな発展を遂げ、まさに情報革命という名前に相応しい経済成長をもたらしたわけだ。

 そこで、IoTが次なる経済成長をもたらすとしたら、それはThe Internet of Things として、全てのInternetにつながるモノが自律分散的に相互接続し、オープンな情報流通が実現してこそ、花開くのではないかと考える。こうなると、インターネットにおける自己責任論と同様の課題も出てくる。 情報流通の基盤に流れ込む様々な情報は、その情報のオーナーシップとコントロール権、その情報に対する責任の所在が重要な要素になる。

 このIoTにおける情報の取り扱いに対して、米通商委員会では、FTC Report on Internet of Things Urges Companies to Adopt Best Practices to Address Consumer Privacy and Security Risksというレポートを、今年の一月にリリースしている。このなかで、FIPPS( Fair Information Practice Principles)として、以下の点について、具体的な提案をしている。

1) Notice 情報利用の通知
2) Choice 情報の利用可否に対する選択権の付与
3) Access 個人情報に対するアクセス権の管理
4) Data Minimization 取得情報の最小化
5) Security セキュリティの確保
6) AAccountability 責任の明確化

 さて、このような指針に沿って、個人の情報を、少なくとも「聞いてないよ」とか、「知らなかった」ということがない状態で取り扱われるとしたら、多くの人は個人のプライバシーをどこまで他人に提供するだろうか? また、どのような条件で、どの程度までなら、プライバシーを開示するだろうか?

 もし、情報というものが価値ある私有財であるならば、それをどのように取り扱い、場合によっては他の財に転換するという情報流通経済は、個人の生活に大きな影響を与えるだろう。
 そうなると、個人が自ら他者にフライバシーを提供する場合、その対価と利用範囲について、提供する者と、提供される者の間で、どのような交換価値の合意がなされるかは、大いに実証的価値のある検討課題と考えている。
 そこで、インターネット協会のIoT推進委員会や、学会、関係官庁等の連携のもとに、大規模な情報流通の実証実験を実施する事を関係者と協議している。

 また、手前味噌で、ステマ的になって恐縮だが(告知しているのでステレスではないけど、某ニュースサイトだと削除されるらしい)、個人が取得した情報を他者と交換する市場を提供する事業会社EverySense,Inc.を昨年設立し、この秋からトライアル運用をスタートする。この事業は、先般IoTデータの「出会い系サイト」? EverySenseが目指すものなんていう、扇動的なタイトルで解説をいただいた。タイトルは、確かに俗っぽいけど、情報流通経済の在り方に対する挑戦であり、ベンチャーだからこそ出来ることと思っている。

  以上、もし自らがその情報コントロール権を維持するとしたら、果たしてみなさんは、いくらでプライバシーの切り売りをしますか?というのが、この投稿の問いかけである。

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