使い慣れないコミュニケーション術はホドホドに!

2015年09月24日 04:30
a0003_001885

ウインザー効果をご存知でしょうか。ウインザー効果とは、第三者の情報のほうが、直接伝えられるよりも影響が大きくなるという心理効果のことを表します。人は特別に好意を持っていない相手からでも、好意を伝えられると相手に対していい印象を持つようになります。

たとえば、Aさんに対して、「Bさんが、Aさんの企画がすばらしいと言っていたよ」と伝われば、AさんはBさんに対して好意的な印象を持つようになります。一方、Bさんにも「Aさんが、Bさんの分析がとても参考になったと言っていたよ」と伝われば、お互いの好感度が高まります。第三者からの言葉なら、なおさら効果が大きくなるのは、食べログのレビューやAmazonの書評のレビューを参考にするのと同じ理由です。

このウインザー効果は、企業内における人間関係をよくする方法や、恋愛のテクニックとして一般的なものになっています。ところが、ウインザー効果を狙って伝言ゲームを始めると、とたんに滑稽になってしまいます。ウインザー効果は自然に耳に入れば効果は高いのですが、最近では意図的に使われるケースが少なくありません。

例えば、部下を鼓舞しようと、ウインザー効果を多用した場合、最初は好意的に受け取られていたものが、自作自演で人によって伝えていることが異なっていることがわかったら興ざめです。また、部下が上司に気に入られようと、片っ端から役職者に対してウインザー効果を多用したら、品のないゴマすりになってしまいます。

これは、昨今問題になっているステマと同じことです。いかにも売れている商品のように見せかけて高評価の記事をネットに書き込んだり、お店の評判を自作自演して口コミに見せかけたり、街中で一般人を装って新商品を試してもらって高評価の回答を得るような手法のことを指します。もし自作自演であることがわかれば、会社のイメージまで下げてしまうことになります。ウインザー効果の多用はリスクにもつながるわけです。

政治家や著名経営者は言葉に対して非常に敏感な人が多いように思います。有権者に対して言葉のみで票を勝ち取るわけですから、政治家にとっては言葉を発することが営業活動みたいなものです。経営者もコミュニケーションのみでトップ営業をしますから言葉の使い方は長けているものです。一方、言葉の重要性を理解している反面、言葉の裏を読むことにも長けています。

みなさんは「馬鹿」という言葉の語源をご存知でしょうか。秦の趙高が皇帝に献上するための狩りの帰りに「珍しい馬が手に入った」と鹿を連れてきます。そこにいた多くの家臣は鹿とわかっていても「それは鹿です」と言えば、恥をかかせることになりますからその場では何も言いません。

後でこっそり、趙高に「もしかしたら鹿ではないかと思うのですが」「もし鹿を献上してしまったら恥をかいてしまいます」と、耳打ちしてくるものは忠誠心の高い家臣として処遇されました。一方で、趙高の悪口を言い馬鹿にしたものは処断されてしまいます。

実は、すべて趙高のトラップだったわけです。家臣を見定めるために、そのような茶番を演じた芝居を打ったわけです。これと同じようなことが、日常的に様々な局面でおこなわれています。

●尾藤克之
ジャーナリスト/経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業の役員等を経て現職。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など。
Amazonプロフィール
Wellbe+(blog)

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑