SEALDsはなぜラップか?選挙に行かない若者たち

2015年09月25日 05:01
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かつて、アメリカでベトナム戦争に反対の声をあげた若者にも類似点がありました。「反戦」「反権力」「反政府」などをスローガンにして長髪でベルボトムで歌う姿は当時の日本の若者にも大きな影響を与えます。

●自らを表現する音楽という手段

その後、新宿駅構内を学生が埋めつくして、自作のメッセージを歌うフォークシンガーがたくさん出現します。彼らはフォークゲリラと呼ばれました。機動隊と衝突し新宿の地下広場を追われた若者たちは、場所を変えながらも70年台まで活動を継続していたようです。経済が安定基調にはいると、豊かさも影響してか学生運動は衰退していきますが、衰退していったのは学生ではなく多くの群衆だったともいわれています。

フォークゲリラがそうだったように、彼らも自らを表現する形としてラップを使用していることが推測できます。ラップという表現方法については様々な意見があり違和感を感じる人もいるようですが、フォークゲリラもいま考えればどのように映るのでしょうか。ラップの変遷をさかのぼると、マルコムXやキング牧師といった政治的指導者のスピーチも大きく影響を与えているので、若者が表現する手段として浸透してきた歴史があるのだと思われます。表現方法はルールに則ったものであれば自由だと思います。

これまでの草食系といわれる若者は、自分の意見を持ち表現をすることが乏しかったように思います。草食系は元気のない若者の代名詞であり、温室育ちの若者を表現する言い方として使用されますが、普通の若者が個々の意思をもちネットを駆使して発信している姿はあまり見られなかった光景です。

若者が政治というものに関心をもち意思を発信するのであれば、単なる反対だけでは誰も次第に耳を貸さなくなるでしょう。反対をするなら、相手の主張や論拠を崩すような立証をしないと議論としては成立しません。それができなければ、気移りをされて群衆も衰退していくことになります。

●選挙に行かない理由

A高校の秋の学園祭では、各クラスがシェイクスピアの演劇の発表をすることが決まっていました。劇の題目を決める際に、学園祭の実行委員長は学内の生徒全員にアンケートを実施しました。ところが、アンケートの回収率は30%程度に留まっています。全体の過半数にも達せず、しかたないので委員長は他の委員とも話し合って題目を「リア王」に決めました。

ところが、題目を決めたとたんに、アンケートに答えていない生徒が、押し寄せてきて「リア王反対」の大合唱です。委員長は「アンケートに答えていないから疑義を申し立てる資格が無い」と主張します。押し寄せた生徒は「自分が答えても何も変らないと思ったから出さなかった」とか、「シェイクスピアには関心が無いから元々投票したい劇が無かった」と反論しています。

日本の場合、国政における20代の投票率は約30%程度です。それに比べて70代の投票率は約70%を超しています。投票した母集団も70歳以上が圧倒的に多いのであれば、70代以上の高齢者を意識した政策が増えることは当然の流れです。20代の若い世代は、「働いて多額の税金を納めている」「自分たちの税金で高齢者を支えているのに納得がいかない」と主張するかも知れません。だったら選挙に行けばよいわけです。多くの人が選挙に行って投票率が上がれば、若い世代の意見も無視できなくなります。

選挙の結果は民意です。少なくとも、選挙に行かないのなら権利を放棄していることと同じです。何もしなければ、何かが変わることはありません。

●尾藤克之
ジャーナリスト/経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業の役員等を経て現職。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など。
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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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