いくらなんでも「政務活動費ゼロ」は極端な主張だと思う理由

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
明後日の質問準備は最終コーナーを周り、時間内に読み終わらない文量に困ってます…


さて、昨日行われた地方選挙で気になるニュースが。

東大阪市議選、大阪維新が全勝…ダブル選へ勢い
http://www.yomiuri.co.jp/election/local/20150928-OYT1T50067.html?from=y10

大阪維新の会の公認候補が全員当選した、というのは良いとして、彼らの目玉公約は「政務活動費の全廃」だったようです。

報道によると、東大阪市議会では自宅を「事務所」として家賃計上し、政務活動費から払って議員が懐に入れるという不正が横行していたらしく、こうした行為に怒った市民たちの支持を一手に受けたことが勝因の一つと言えるでしょう。

発生しない家賃を払う、身内を秘書にして人件費をはらって還流させる、などは政治資金不正の王道(?)とも呼べる古典的手法であり、もちろんこんなことをやった自民党系会派とやらは論外です。

さらにこの問題を巡っては、神戸市議会では「自民党神戸」が政務活動費から一千万を超える裏金を作っていたことが発覚しており、政務活動費に対する炎上事例は留まる気配がありません。

政活費不正:自民党神戸団長裏金口座認める 市議会検討会
http://mainichi.jp/select/news/20150915k0000e010151000c.html

「政治家に金を持たせると、ロクなことがない」
「もういっそ、そんなものは廃止!ゼロにしてしまえ!」

という有権者の心情は非常によくわかりますし、私もいち議員として地方議会の腐敗には恥じ入るばかりです…。

しかしながら、改革勢力がすぐさま

「政務活動費を全廃!」

と掲げることには、若干の違和感が残ります。
まず大前提として、政治家・議員は有権者の皆さまの代表です。
当たり前なのですが、本来は「敵」ではなくて「味方」なのです。

政務活動費という「武器」を手に調査研究を重ね、状況をレポートし、行政の無駄や非効率に切り込んで改善していく。社会課題を解決していく。
これが地方議員の存在意義です。

地方議員を「敵」と見なしてその武器を取り上げることは、有権者にとってみれば味方を弱体化することに他なりませんし、議員自身も

「私は自ら、行政や社会問題と闘う武器を放棄します!

と宣言するに等しいわけです。
なのでやはり、私としては政務活動費については

「政務活動費の使用用途を1円単位で報告」
「ネットも含めた全公開」

などの、情報公開を求めていくべきだと考えています。
その上で、

「こんな使いみちなら、政務活動費は多すぎる」
「いや、もっと調査研究費が必要だ」

という議論をするのが正しい筋道ではないでしょうか。

そして単に政務活動費を全廃、ゼロにするだけでは、過去の所業がゼロリセットされて小悪党が逃げ切ることにもなりかねません。

東大阪市のように改革派が勢いを駆って主張できるのであれば、ぜひとも過去にまで遡った情報公開と検証を求めて欲しいと思います。

…しかし神戸とか、本当にひどいよな。。
全国の地方議会を徹底情報公開したら、どれだけの事例が出てくるのやら。

私個人の活動では甚だ微力ですが、今後も政務活動費フル情報公開で背中を見せ続けることで、少しでも世論を喚起していきたいと思います。

私の過去の政務活動費の公開状況については、過去記事をご参照くださいませ↓
http://otokitashun.com/tag/%E6%94%BF%E5%8B%99%E6%B4%BB%E5%8B%95%E8%B2%BB/

それでは、また明日。

※19:15追記

一部報道によると、維新の党の公約は「政務活動費の『一時』廃止」とのことです。
いったん廃止をして、再検討することを主張されているとのこと。

大阪維新がゼロから8議席に 東大阪市議選で全員当選
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150928-00000016-asahi-pol

>政務活動費の不適切支出の問題が相次いだのを受け、
>公約に掲げた「政活費の一時廃止」が支持を集めた。(中略)
>いったん政活費をなくし、必要性を再検討する公約を掲げた。

失礼いたしました。
適切な「武器」が残る検討が行われることを期待します。
もちろん、情報公開も!

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。

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