社内に落ちている「火中の栗」は丹念に吟味して拾え

2015年10月02日 03:00
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ビジネスパーソンならおわかりのとおり、社内のいたるところには火中の栗が落ちています。火中の栗とは「責任」のことです。かぶっていい責任と、かぶってはいけない責任を見定めなくてはいけません。むやみに拾うと、サル・カニ合戦のサルよろしく、自分が大やけどを負うことになりかねません。

●火中の栗とは

「責任をかぶるってことは、火中の栗を拾えってことじゃないの?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。確かに責任をかぶらなければいけない場合、その責任はすでに火中の栗となっているケースが多いと思います。

火中の栗を拾わないのであれば、結局なにも責任をかぶらないのと同じ状態といえます。しかし、本当の火中の栗は、もうはじけるしかない状態なのです。拾わなければいけない栗は、火中といっても救いようのある火中の栗なのです。落としどころが見えない火中の栗は拾ってはいけません。火中の栗すべてが自分にとって有益な責任ではないのです。ここが難しいところなのですが、火中の栗の中には、うまくいけば化ける栗も確かに存在します。が、それはあくまで「うまくいけば」なのです。

責任をかぶるときは、必ず落としどころを想定してかぶってください。この大原則さえ守っていれば、かぶった責任が大きな火に燃え上ってしまうことはそうそうありません。

●美味しい栗とは

赤字続きで利益が回収できず潰れそうなプロジェクトや、代金未収の案件はありませんか?既に、火中の栗となって、火を噴いていますが実は美味しい栗であることが少なくありません。

ここで最も重視されるのは、代金の回収や、顧客との関係維持、撤退に向けての事務作業などになります。プロジェクトの成功ではなくクロージングです。

これまでも八方手を尽くしてきたわけで、正直そんなもの誰がやろうと、成果を改善することはできないでしょう。ならば、被害が最小な落としどころに収めるよう努力した方が遥かにマシ。

そして実際に撤退となりますが、評価は落ちるどころか上がります。そもそも瀕死状態ですから、成果は求められません。やるのは事務処理や調整だけなので、がんばれば結果が出て、火事場の処理がうまい人という印象になるのです。さらには、火の中に飛び込む度胸のあるヤツ、という評価も得られます。ポイントは「撤退寸前で手を差し伸べる」ことです。

事業を成功させるための努力は大変だしライバルも多い。でも、敗戦処理なら、評価も上がりやすい。トラブルの最終処理を仕上げることで、会社も助けて、上司も助けて、人望も集まる。これこそがクローザーの役割です。ただし、火消しが上手くいかない場合は、批判のほこ先が向かいますから注意が必要です。社内に落ちている「火中の栗」を丹念に吟味することは、いまやビジネスパーソンの必須要件だと思われます。

●尾藤克之
ジャーナリスト/経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業の役員等を経て現職。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など。
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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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