facebookが使えないこれだけの理由

2015年10月17日 03:00
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HR総研「2016年卒学生の就職意識調査」によれば学生の採用時におけるfacebookの利用は限定的とのことです。プライベートでは企業と繋がることを敬遠していることが原因としてあげられています。

●企業側にとってのfacebook

数年前(2011年頃)は、facebook採用元年といわれました。巷には関連本が溢れ、それをテーマにしたセミナーもかなり見られました。当時、「今後は就職サイトが不要になり、facebook採用が主流になる」ともいわれました。各社とも景気低迷による採用予算削減のなか、facebook採用の検討に入ったのです。facebook採用のメリットとしては次のようなものがあげられていました。

<低コストで効率良く掘り起こしが可能>
facebookで感度の高い学生(意識高い系学生)と接触し、自社の情報を定期的に流したり、学生との交流を通じて魅力をアピールするなど選考へと誘導する。ターゲット層と同じ出身校の社員を登場させフレンドリー感を醸成させるなど志望度を向上させる。facebookでつながることにより、その後もオンラインで意思疎通を続けやすい。

<動画配信との組み合わせによる効果>
動画配信と連動性を持たせることで、海外の学生や企業説明会に参加できない遠方の学生に対して訴求することが可能となる。

<適切な母集団の形成>
就職サイト経由と異なり、facebook上で交流を重ねることにより戦略的に誘導しているため動機形成がなされており、自社への就職意欲が高い母集団が形成される。また、既に絞り込みができている対象なので、ミスマッチが少ない。

<場所を選ばない面接の実施>
スカイプなどのネットワーク回線を活用することにより面接の手間を軽減でき、企業と学生双方にとって大きなメリットである。また、海外の学生や遠方の学生を効果的に誘導することが可能である。

私も、これまでの学生インタビューなどから、巷でいわれているほど学生はfacebookを就活には利用していないと考えています。実際にfacebook採用によって優秀な学生を採用できていれば、多くの企業が導入し、すでに就職サイトに取って代わる存在になっているはずです。むしろfacebookは不適切な学生を発見するツールとして活用されているのが実情でしょう。

●就活側(学生)にとってのfacebook

facebookを通じて、多くの学生は未熟な存在だということを露呈しています。日記や書き込みを見れば、属人性が容易に知れてしまうからです。学生同士の会話がチャット状態になっていたり、過度なプライベートの不適切な記事を掲載していた場合などは、就活の足かせになりかねません。

学生のfacebook普及率が高まるにつれて、採用担当者は例外なくfacebookのプロフィールチェックや記事チェックを行うようになりました。その中に不適切な内容があると、選考から漏れることになります。不適切な内容とは、概ね次のようなものを指します。

<プライベートの投稿>
「昨日飲み過ぎて○○でした」という類の飲酒にまつわる日記は、その最たるものです。友人との内輪ノリで羽目を外した内容は、本人からしてみれば楽しかった出来事であり、他意はありませんが、間違いなく印象は悪くなります。常に投稿をする際には「他人が見たらどのように思うのか」を考えながら、慎重に検討する必要があります。

<公共秩序違反に関する投稿>
例えば、本当の公共秩序違反(交通ルール違反、非社会的活動、試験でカンニングをしたなど)は論外ですが、実は当たり前のように行われていることも、一歩間違えれば印象を落としかねません。

芸能人がブログで「本日の食事」と題して、食べた料理やお店を紹介している記事をよく見かけます。これを学生がやると、非常に滑稽な投稿になります。今日食べた料理、お店の写真の類を投稿している学生は多いのですが、採用担当者が見れば「この人は芸能人でも気取っているのか?」と、いぶかしげな目で見られるかもしれません。また、食事中に写真を撮るという行為が、芸能人はともかくとして、マナー違反といわれかねません。

<選考に関わる記事>
企業の固有名詞を出した場合、次以降の選考に進む可能性は極めて低くなります。企業名を出さなくても、選考内容や、特にネガティブな情報や批判的な意見は、採用担当者の心証を害することになるため、控えるべきです。

ここまで書くと「facebookは就活で使えない」「企業が学生のプロフィールや私生活のチェックに利用しているならば、デメリットが多い」と気づく方も多いでしょう。私は、学生という立場を考えると、facebookに手を出さないほうが賢明であると思います。利用するなら、投稿内容は採用担当者に見られることを前提としなければいけません。

●結果的にはリスクが高いfacebook

数年前に、某大手企業のfacebook上で、企業に採用される「内定者」として少なくとも数千人の氏名・顔写真などの個人情報が、誰でも閲覧可能な状態で公開されていたことが報道されたことがあります。

また、facebookで企業の人事担当者と学生がやり取りしたことが、公知の事実となってしまう場合もあります。採用の選考に関わる問題が公の場で明らかになることは好ましくはありません。facebookの普及に伴い、結果的には、採用担当者の高いリテラシーが必要になってきます。やはり、いくつかの問題を解決しないことには採用市場での普及は限定的であると思われます。

尾藤克之
経営コンサルタント

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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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