SEALDsの集会感想記。彼らは何に抗うのか? --- 天野 貴昭

2015年10月18日 06:58

過日、首都圏にある某大学にてSEALDs と呼ばれる学生運動グループメンバーが中心になって開催された「安保法制について考える会」というイベントに参加して来ました。

それは同グループのコアメンバーである諏訪原健さん・本間信和さんと、彼らを応援する先生方が登壇し彼らと同案の賛否を討論するといった内容でした。今回はそこで行われた質疑の内容と、幾つかの私見を述べて参りたいと思います。


【びっくりするくらいの「普通さ」】
当初予測していた「好戦的」「抑圧的」な雰囲気が全くなく、良い意味で驚きました。
(国会討論より、余程建設的だったのではないでしょうか?笑)
はじめてお目にかかる本間さんも諏訪原さんも(自己主張はしっかりされていましたが)普通の学生さんとしか思えない面持ちでした。

実は僕自身、彼ら SEALDs の活動には強い疑問を持っているので会場では随分と辛らつな質問ばかり投げかけてきたのですが(大変困ったご様子ながら)それらにも皆、誠実に返答頂けたのが印象的でありました。

※恥を忍んで申しますと「もしかすると、狂信的な支援者から帰り道に襲われるのではないか?」と警戒して当日はバックに護身用の鉄板を入れておくという「昭和のヤンキー」さながらの備えをして参ったのですが、参加していた支援者風の聴衆者の反応も平穏そのもので、僕の意見に対しても「う~む、良い批判をありがとう」的なご反応、道中襲われるなんて事も全くなく、その結果どうなったかというと、「帰りは只、バックが重かった」…それだけでした(笑)

※政治運動として今夏注目された安保反対デモ。SEALDsの原動力は何か?
安保反対デモ
【NOと言えない自民党、NOしか言えない○○党】
それでは質疑の話題に移ります。
最初にご紹介したい質問は「テクニカルな部分(憲法・法律)抜きで安保法案に賛成か反対か」といった内容でした。

「違憲である事」それは間違いないと「僕」も思います。
只、違憲・合憲の枠組みが外された世界での判断こそが今回の安保議論で最大の争点ではなかったかと思っている僕としては、この質問には非常に注目しました。

回答内容としては、(皆さん誠実に対応なされつつも)「反対」という部分だけは一致するものの
その根拠に至るとはっきりしたものは伺え切れず、最終的には「NOと言い続ける事が大事」というご意見だと解釈させて頂きました。

若い彼らだけに回答を強いるのも不誠実なのかもしれません。
僕が知り得る限り、今回一連の安保法制での議論で反対の根拠をテクニカル(憲法・法律)を抜いて示せていた国政政党は一党だけ(それですら些か内容不十分)だった筈です。

繰り返しますが、私の意見は「違憲」だと思います。

また「NOを貫く事こそが正義だ」という主張に関しては、それこそ我が国では憲法で表現の自由が保障されています。絶対に尊重します。

只、それだけでは「YESを貫く事こそが正義だ」と訴え続ける政府与党と永久に綱引きになる様に思えてならないのも事実なのです。

【貴方は信頼できるが、貴方達は信頼できない】
次に紹介したいのは、
「今回お話して、登壇の先生方・メンバーの皆さんは、なるほど信頼出来そうな方だと思いました」「でも、SEALDs チーム全体を信頼することは出来ません
といった主旨のご意見です。これは仕事で多くの方と接する僕にも結構ズシンと響くものでした

発言者のご夫人も結構緊張していた面持ちでしたので要約させて頂くと、
・例えば、「安倍やめろ」のコールを聞いても「なぜ辞めさせるのか?」、即ち「why」の説明が不十分なまま「辞めろ」を連呼するのは不誠実に思う。
・参加者の皆さんが「why」を共有できているとは思えない。

このようなご意見でした。

これに対しては
「メンバー内で主義主張に偏りがあり、全員が全員コールに従う必要はないし、実際従ってない者もいる」
「それは統制の不備でなく個性だと捉えている」
と回答されつつも「why」の部分は重く受け止めて行きたいと仰っていました。

【「結果」でなく、「経過」に抗う集団「SEALDs」】
ネガティブな話題が続きましたが、これ以外にも前向きなご意見も多数ありました。
・住所地が実家のままの学生向けの【期日前投票手引き】を作りたい
・学校内に投票所を作りたい

また
・反対者や誹謗中傷には正直閉口しているが、彼らの衝動もどこか理解できる自分もいる
・俗に言うネトウヨ、といった括りで対象をどうしても見たくはない

など、こういった若者ならではの柔軟な視点は本当に大切にして欲しいと率直に願っています。

お話を伺って思ったのは、もしかすると彼らが抵抗しているのは、「安保法案」や「特定秘密保持法」といった個々の法案ではなく、その決定に至る「経緯」に反抗しているのかもしれないという事です。

安倍さんが推し進めている社会形態は「トップが強い決定力を持つシステム」
即ち、野球やバレーの様なアメリカンスポーツで再現されやすい
「各プレーの支持を監督がサインでかなり細かく指示できる社会」を目指している様に思えます

対して SEALDs さんらは、彼らの書籍「民主主義って何だ?」にも書かれていますが
「特定の強い権限を持つリーダーを作らず、激しい意見交換の中で意思決定を図る」
つまり「ラグビー的」…欧州スポーツ系の社会形態を目指している模様です。

彼らはこのシステムをメキシコの民族解放軍からヒントを得たと同書には書かれていますが、実はこの「特定のリーダーに決定権を据えない社会構造」とは、元東京都知事、猪瀬氏が著書「戦争・天皇・国家 近代化150年を問いなおす」等でも散々仰っているように、まさに「日本古来の社会形態」なのではと思います。

もしこの仮定が正しければ、彼らSEALDsが頑なに護憲へこだわる理由も見えてきます。僕が解釈する限り、日本の憲法はわざとトップに権力が集まらない様に構成されています。それはトップの暴走を喰いとめる力がある反面、分散されたサブリーダーらに高い能力が求められるハイレベルなシステムとも言えます。

一方、安倍氏からすれば、現行の活動はいわば「ラグビーのルールで野球をやっている」訳ですから様々な矛盾が出るのは当然と思いますし、何より存分に動かれる為にルール改正(改憲)を推し進めたくなられるのも、また当然と思えてならないのです。

皆さんはどう考えますか?

天野貴昭
トータルトレーニング&コンディショニングラボ/エアグランド代表

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