大学教育を刷新し復活させるボランティアとはなにか

2015年10月21日 03:30
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(ボランティア活動に従事する船山氏。写真中央)

最近、若者を中心にボランティア活動が活発化しています。日本におけるボランティア活動の定義は「自発的意志に基づく、公共目的のために行われる無償の活動」(文科省生涯学習審議会)とされています。

今回は、ボランティア活動のなかでも社会福祉分野にフォーカスし、実際に活動に取組んでいる社会人の船山由美さん(社会福祉関連団体勤務、高崎経済大卒)に話を伺いました。

●ボランティア活動を通じて何を学んだのか

—どのような活動をされていましたか?

船山由美(以下、船山) 学生の感性を伸ばし、さらには大学教育を刷新するためには、本質的な意味でのボランティア活動の促進が必要だと思っていますのでその視点で回答したいと思います。

学生時代から、障害者支援をしている団体でボランティア活動をしていました。今年は全体の運営をマネジメントする立場で参加しました。今回は、初参加の学生ボランティアが多かったので、慣れてもらうために負担が掛かり過ぎないように配慮するなど意識をしました。それでもリーダーのなかには、初めての経験でカルチャーショックを受けるような学生も多いので、全体を見渡しながらサポートする役割に徹していました。

—活動して良かったことはありますか?

船山 ボランティア活動に参加するまで、障害者に接したことがありませんでした。そのため参加前は障害者に対する偏見を少なからず抱えていました。街中で見かけたときもどうしたらいいのか、接し方がわかりませんでした。

活動してわかったのは、障害のある方々は「障害という多少目立つ個性」をもっているに過ぎないということです。障害という大きな個性を持ってみんな生き生きと純粋に素直に生きている姿に心が洗われました。障害者に対する考え方も見方も変わりました。彼らのように生きてみようと思うようになりました。私自身は、障害者から色々なことを学んだと感じています。

●大学教育に本質的なボランティア活動を

—いまの障害者を取り巻く環境についてどう思いますか?

船山 昔ほどではありませんが、未だに障害者排除のような雰囲気を感じることがあります。ボランティア参加の呼びかけをしていると「障害者支援、ボランティア、そんなのは偽善でしょ?」とよくいわれます。あとは「よくそんな時間あるね」って。一緒に生きる、共生をうたっているわりには、言動や行動が伴っていない人が大勢います。学生の意識改革も重要ですが、学生を指導するはずの教員の意識改革も必要ではないかと感じています。

教育現場、日常生活における障害者に対する考え方も大きいです。実践の経験がないから、保育園、幼稚園、小中学校、高校、大学の各現場で障害者に対してどう接すればいいのかわからない。「障害がある=わからないから何もできない=なんかしてあげたいけど、自分には関係ないし」という負のスパイラルを誰もが心のなかに持っていると思います。それでは何も変わりません。

—最後になにかメッセージがあればお願いします。

船山 いまの仕事の現場は、軽度の障害を持っている者と重度の障害を持っている者、健常者よりは少しズレていて障害者よりは健康的には見えるいわゆるグレーゾーンの方々もいらっしゃいます。彼らが普段在籍しているところでは、彼らの気持ちや行動が理解されずにわがままだととらわれたり、どうにも手に負えないので無理ですといわれたり、小さい頃から心に深く傷を負いながら生きている人もたくさんいます。

少しでもその傷を拭える、心が落ち着く安らぐような場所になればいいなと思いながら仕事をしています。私はこの活動を通じて色々な学びがありました。自分の目標を失っていたときに活動に参加をして、新たな目標を見つけることができました。いまそれに向かっています。

また、これから社会に巣立っていく大学教育にこそ、本質的なボランティア活動を取り入れるべきだと考えています。参加の意識により習熟度合いは異なりますが、大学教育を刷新する効果的な施策だと考えています。自分を客観視し人生を変えるような出来事に出会えるかも知れません。

—ありがとうございました。

1972年に米国ペンシルバニア州裁判所は「障害の如何を問わず、すべての子供はその能力に応じて教育を受ける権利を有する」(Pennsylvania Association for Retarded Children,PARC判決)と宣言しています。これは、差別的な教育に対する是正を求めたものであり、教育のダンピング(教育の放棄)を招く危険性があることへの警告です。

内閣府の平成26年度障害者雇用状況によれば日本における障害者数は、身体障害者366.3万人(人口千人当たり29人)、知的障害者54.7万人(同4人)、精神障害者320.1万人(同25人)であり、国民の6%が何らかの障害を有するとしています。障害者政策は私たちにとって喫緊の課題でもあるのです。

尾藤克之
経営コンサルタント/ジャーナリスト

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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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