政治が一部の人々の道楽に~安保法成立1ヶ月に思う --- 選挙ドットコム

安保法成立から1ヶ月が経ちました。
この節目に、国民の声と各党の動きについて振り返りました。そこで感じたのは、“国民の声”が見逃されて、政治が一部の人々の道楽になりつつあるということです。


そもそも盛り上がっていなかったのでは?


<1か月前と現在の国会前>

※10月18日午後6時22分、筆者撮影
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安保法成立までの数ヶ月間、国会周辺デモが連日行われていました。
SEALDsの活動が報道されて活発化したデモは、成立が近づくにつれてますますヒートアップし、成立直前に最高潮に達しました。成立後は次第に沈静化しましたが、「成立したから熱が冷めるのは当然」だと思っていました。

その後、通常国会が閉会し、地元で活動する機会が増えました。地元企業や友人から多く聞かれることは、「安保法は戦争法なの?」「そもそも安保法って何なの?」ということです。連日、国会での議論や国会周辺デモを目にしていた私は「議論は盛り上がっていた。成立した後にその熱が少し冷めた」と考えていましたが、国会から一歩離れた今では、「そもそも議論が盛り上がっていなかったのでは?」とさえ感じています。

その要因の一つは、与野党の対立構図にあるのかもしれません。

「安保法は必要だ」という与党に対して、多くの野党は「戦争法だ。廃案にしなければ」と真っ向から対立。一部の野党は「歯止めをかける」としましたが、大きく報道されませんでした。この極端な対立によって本質的なことが議論されませんでした。そのため、多くの人が「安保法で戦争になるの?違憲なの?そもそも安保法って何なの?」という本質的な疑問を抱いています。

政治が一部の人々の道楽に……
参院選を見据えた各党の動きを、以下にまとめました。
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安保法を参院選の論点にしたくない与党と、何が何でも論点にしたい野党。
現在のところ論点になりそうですが、「安保法は戦争法なの?違憲なの?そもそも何なの?」と思っている人はどうすればいいのか。本質的な部分がじっくりと議論されない現状で、賛成も反対も決めようがありません…。

「経済最優先」と連呼して安保法の話題を避ける与党も、安保法反対派を「まさに国民の声だ」とする野党も、この声に誠実に向き合うべきではないでしょうか。

政治は「関心がある人だけが参加すればいい」というサークル活動的なものなのか。
(今にはじまったことではないのかもしれませんが、)“国民の声”が見逃されて、政治が一部の人々の道楽になりつつあるような……。

ゴリ(仮名):参議院議員秘書
1992年生まれの新米秘書。国立大卒。ジャーナリストを目指しつつ政治の世界で奮闘中。”22歳の議員秘書にしか書けない政治”で、選挙をオモシロクしたい。(※特定の人物・団体が、恩恵または損害を被る記事は絶対に書きません。実名は非公表とさせて頂きます。)


編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2015年10月20日の記事『政治が一部の人々の道楽に ‐安保法成立1ヶ月に思う‐ (永田町の洗礼を受ける22歳⑤)』を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。なお、アゴラでは寄稿者は原則実名制とさせていただいていますが、この連載は配信元が身元確認の上、契約している筆者であること等を考慮し、匿名原稿を掲載しました。ご了承ください。