市民運動の「正義」の危険-福島で嫌がらせ続く

2015年10月22日 01:17
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今回の清掃活動の背景になった「ふくしま浜街道・桜プロジェクト

伝えられない清掃活動への嫌がらせ

NPO法人ハッピーロードネットや浜通りの青年会議所でつくる「みんなでやっぺ!きれいな6国(ろっこく)」実行委員会は10月10日、福島県浜通りの国道6号で、約1400人が参加した。住民、東京電力社員、除染作業員、地元中高生200人がごみ拾いを行った。(福島民友記事)東京福島第一原発事故以来、5年ぶりの清掃活動であった。

ところが、このイベントの影には、伝えられない問題があった。「福島は危険」「反原発」を唱える人たちが「抗議」と称する嫌がらせを繰り返したのだ。手紙、匿名電話、ファクス、メールを事前に実行者に送り、またインターネットでも批判記事が各所で書かれ、その中には「殺人だ」「嘘つき」という、聞くに堪えない言葉があった。

当日は放射線防護服を着た集団がサングラスをかけ、一部の参加者の周りにつきまとい、ガイガーカウンターを鳴らし、写真を撮影したという。(取材と称して嫌がらせ?行為をしたらしい人のブログ)左派雑誌の記者と称する人物も中高生らに「危ない」などと話しかけ、コメントをとろうとしたそうだ。それは取材に名を借りた嫌がらせだ。

彼らの主張は被ばくを避けろというものだ。懸念はあってもいいし、公序良俗の範囲での批判は行われてもよい。ところが今回の場合の批判者は、このイベントの成り立ち、主宰者の配慮も知らず、また聞かず、ただ反対を繰り返し過激な手法で嫌がらせをした。トラブルを起こしたくないので、関係者の多くは反論せずに黙っていたという。大変卑劣な行為だ。私は警察への告発を関係者に勧めている。

桜のトンネルと地域復興の願い

ハッピーロードネットは、以前から浜通り地区の地域の町作り、地域連携を行ってきた。町の清掃活動もその一つ。代表の西本由美子さんと共に活動する青年会議所(JC)の方々に私も何度かお会いしたが、前向きに福島復興に取り組むすがすがしい人たちだ。(GEPR記事「「福島を元気に」知恵競う高校生会議」)そして福島事故、東日本大震災前から町の清掃活動を行ってきた。

ハッピーロードネットは、国道6号線への桜の植樹を行う「ふくしま浜街道・桜プロジェクト」を行ってきた。浜通りが復興したときに桜のトンネルをみんなでくぐろうという願いを込めた。一口1万円の寄付をすれば桜一本分の「オーナー」になって、メッセージと名前を記したミニ看板が置かれる。

清掃活動再開のきっかけは、桜を植えた高校生たちが、国道が汚れているのを悲しく思い、その掃除を提案したことがきっかけだ。外部から来た除染・工事関係者、東電関係者、自治体・政府関係者、中高生200人も参加した。新しい住民の相互の関係、また現地の人々との関係は薄かったという。この清掃活動で、地域の関係の再強化も意図した。

また批判に配慮して高線量の残る避難地域の清掃は大人が、そして青少年は除染が進み、今年9月に避難指示が解除された楢葉町、そしてサッカーのナショナルトレーニングセンターの「Jヴィレッジ」周辺を行った。

ところが、そうした説明も聞かず、匿名で嫌がらせを続ける人がいた。事故当時と違って、過激な活動をする人は数十人規模の少数であるもようだ。しかし、そうしたノイジー・マイノリティは、自分勝手な正義を唱え、行動は先鋭化している。

私が繰り返し伝えたように、福島の復興は着実に進んでいる。また、これも繰り返し伝えているが、福島事故による放射線の影響による健康被害は、普通の生活をする限りにおいて、これまでも起こらないし、これからも起こらないと、専門家の見解は一致している。危険と騒ぐ必要などまったくない。

健康被害の懸念を4年半も経過して騒ぐ人は、心に深い闇をかかえ、そして情報を吟味できないとしか、思えない。反論しない人々を傷つけ、地域が再生することを妨害する人たちの心の闇の深さに私は慄然とする。

福島の混乱を続けさせたい人たち

さらに懸念すべき問題がある。ノイジー・マイノリティの中には、心に深い闇を持つ人々に加え、政治的な意図を持って自分の利益のために福島の混乱を永続させたい人々がいるようなのだ。福島では、事故後に反原発、そして危険を騒ぐ、極左暴力集団の活動が目立つ。そうした団体の関係者らしい人々が嫌がらせ行為の中にいるらしい。

私の書いた記事「北大教授に「殺すぞ」と脅迫-反原発主張の人物」という記事は、多くの方に読まれ、感謝を申し上げる。人々が知ればテロは抑止できるかもしれない。被害者の奈良林直北大教授は福島復興支援を続け、このハッピーロードネットも手伝っている。ある極左暴力集団のビラでは、奈良林氏の福島支援活動を「被ばくを増やす」と名前を出して糾弾していたという。もしかしたら、今回の嫌がらせを行った人と奈良林氏の脅迫者はつながっているのかもしれない。

福島浜通り地区は、静かで住民の連帯の強い場所だった。私が現地の話を聞くと、外からきた政治活動家、福島を守れと叫び現地に乗り込む「自称市民」、外国NPOを、「怖い」「目がつりあがった人たち。つるし上げられそう」と、恐怖を持ってながめ、口をつぐむ人たちもいた。こうした部外者をのさばらせ、復興に努力する人が攻撃される状況は断じて許してはならない。

反原発の議論を続けるメディアは、上記の奈良林氏への脅迫や、福島の普通の地元住民への脅迫を、大きく取り上げない。原子力を巡って日本によくある言論の「こわばり」「空気」がある。前向きな話を伝えず、否定的に情報を編集する動きが、人々の口コミにも、メディアにもある。とても不思議だ。社会常識に基づいて、誰もが「正しい」ということを強くできないことは恐ろしい。

こうした清掃活動のような前向きの動き、そして福島における「市民運動」の一部の危険さはもっと日本中に知られるべきである。

福島の復興のために、おかしいことは批判し、前向きな動きを称える当たり前のことをしようではないか。異常な行動の広がりを抑えられるのか。日本人全員の良識が試されている。

石井孝明
ジャーナリスト
メール:ishii.takaaki1@gmail.com
ツイッター:@ishiitakaaki

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