国際政治もアプリ開発も現代社会はカラオケ化している --- 天野 貴昭

2015年11月05日 07:00

過日、池袋の旧豊島区庁舎で「災害時の都市復旧や街の発展に役立つアプリ開発大会」というイベントに参加してきました

※誰でも“スター”気分を味わえるカラオケ。筆者が言う社会現象の意味は?
karaoke
イベントの概要としては、その場に集まった方からアイディアを募り、それを、「IBM_Bluemix」というアプリ開発ツールを使ってアプリを作り・評価するという流れでしたが、実際に出来上がった作品はどれも独創的で素晴らしいものでした。

作成された作品の一部をご紹介すると

「独居(老人・病人)家にセンサーを備えつけて、対象のプライバシーを保持しつつ見守が出来る装置」

「ペット(猫)の首輪に小型端末を装着させ、位置情報による行方不明時の捜索や超小型カメラからの画像情報で彼ら小動物でなければわかり得ない箇所の災害者発見を支援するシステム」

「配布されただけで全く読まれていない東京防災(笑)が活用されるよう、本編を題材に課題達成型スマホゲームを作る」などの企画がありました。

※興味のある方は今週末から同、旧豊島区庁舎で開催される「code for japan summit 2015」の中で本大会が行われますので是非どうぞ☆

カラオケ化する社会基盤


では、今回の本題に移らせて頂きます。

僕は今回使用されたBluemixの様な「高性能な機能を簡単に扱う為の装置」への需要は(コンピューター業界に限らず)社会全般に於いて一層高まって行く様に思っています。

あと数年以内にスマホアプリは僕の様に開発言語をよく知らない素人が手軽に作れる時代となりそうです。

その結果、アプリ業界は従来の

【供給者:アプリ開発者】➡︎【消費者:アプリ利用者】

という二層関係から

【供給者:アプリ開発ツールの開発者】➡︎【介在者:アプリ開発者】➡︎【需要者:アプリ利用者】

という三層以上の構造となって行き…これによりトップである供給者の役割は「作ったものを提供する人」から「環境を提供する人」にシフトされて行くでしょう。

この現象の先駆的文化としては「カラオケ」「クラブのDJ」などが挙げられると思っていますが、例えばファッション業界ではこの傾向が顕著に現れていると思います。

プラットフォームの改革が社会に
きゃりーぱみゅぱみゅを生み出す


かつてファッションコンテンツは企業が市場に発信していました、今はそれに加えて「読者モデル」という「需要者(元需要者)の中のリーダー的存在」がコンテンツを発信し、企業の役割はそれを収拾・拡散する方向にシフトしつつあると感じています。

つまり、従来の「企業が需要者をリサーチし、コンテンツを発信する」という、「トップダウン的市場」の中に「需要者が存分に表現を発信する為の環境(ステージ)作り」という異なる価値観が参入して来た訳です。そして今やこの価値観は従来のそれを凌駕するまでに成長して来ました。

もし今後Bluemixの様なコンテンツが発展して来ると、僕は数年後アプリ業界に(きゃりーぱみゅぱみゅさんの様な)既成概念を破壊するモンスター開発者が誕生するだろう…そう推測しています。

歌うのはオバマでなく合衆国国民


この社会現象は、世界政治の世界にも見て取ることができます。

かつてアメリカ合衆国大統領はその殆どが「軍人」という「自らの意思を社会(部下)に発信する能力に長けた資質」が強く求められる職業の経験者ばかりでした。

その後、60年代以降にケネディー~レーガンにより「タレント性」という新たな要素が加えられ、現在は「NPO代表・編集長(ジャーナリスト)」という「社会の意思を受信・反映する能力」を要求され続けて来た人物が選出されています。

今のアメリカ合衆国国民は政治的トップに「軍人的資質」よりも「クラブDJ」や「カラオケメーカー」の様な、「プラットフォームを提供できる資質」を求めた、つまり…

…大変クサい言い方をすると「オバマ自身の歌は必ずしも上手い必要はなく、合衆国国民が歌いやすい環境を作り出す事こそが彼の役割である」…と、僕は解釈しています。

カラオケ化の展望


この「カラオケ化」の風潮は今後広がり続けると思います。果たしてそれが正しい道なのかどうかは正直判りかねるのですが、僕は社会がこの“カラオケ化”を拒み「プロ歌手だけで固まった社会構成」に固執し続けると、将来海外でカラオケや読者モデルの様な媒体が多数派生すると太刀打ちが出来なくなる…そう思えてならないのです。

皆さんはどう考えますか?

天野貴昭
トータルトレーニング&コンディショニングラボ/エアグランド代表

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