障害者教育には学校外の社会的理解と支援が必要である

2015年11月10日 03:00
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(ボランティア活動に従事する森氏。写真中央)

ノーマライゼーションはデンマークのバンクミケルセン(1919~1990)によって提唱された概念です。「障害者と健常者とは、お互いが特別に区別されることなく、社会生活を共にするのが正常なことであり、本来の望ましい姿である」とする考え方です。

いま2020年のパラリンピックに向けて、若者を中心にした障害者支援に関連するボランティア活動が活発です。今回は、社会福祉の位置づけをより鳥瞰するために、ボランティア活動に取組んでいる現役大学生の森達規さん(日本大学理工学部数学科在学中)に話を伺いました。

●障害者支援を難しく考える必要はない

—活動の内容と役割について教えてください。

森達規(以下、森) 障害者支援をする団体のイベントにボランティアとして参加しています。参加者はグループにわけられて活動をしますが、今回は10名程度のグループを引率するグループリーダーとして参加しました。長野県の志賀高原で約200名を集めたイベントが開催されました。

これまで、障害者と接する機会が無かったので、イベントに参加するまでは障害者との接し方が分かりませんでした。参加したことで障害者との接し方を知る事が出来たことは非常に有益だったと思います。

—障害者への接し方で留意すべきことがあれば教えてください。

森 実際に経験をすれば障害者支援は決して難しいことではなく、いままでほかの人に接していたことと同じようにすれば良いことがわかります。障害があることで、態度や行動を変える必要性はまったくありません。

障害者と聞くと多くの人は、障害があり可哀想という印象をもちます。このような気持ちをもつことで、健常者と障害者の間で意識の壁が形成されます。分からなければ、臆することなく障害者に聞く姿勢が大切です。経験がないから分からないのではなく、どのようにすれば良いのか聞くことです。聞いてみることで自然に会話も増えて、コミュニケーションも深まります。

●実行可能な障害者支援をおこなうことが必要

—今後、どのような障害者支援が必要だと思いますか。

森 障害者教育は学校だけで行われるものという印象をもちがちですが、それは学校にすべてを押し付けているように見えてしまいます。健常者が塾やスクールを受講するように、障害者の学校外での教育や社会的理解や支援を深めることが必要ではないかと考えています。

また、現在の義務教育では障害の程度により「特別支援学校」「特別支援学級」「通常学級による指導」に分けられていますが、より細分化してサポートするための体制があってもいいのではないかと考えます。

例えば、障害のある小中高生を対象にした、放課後等デイサービスの市・区営の施設の充実、特別支援学校などの多くの人が送り迎えすると考えられる場所の駐車場の充実などが挙げられます。健常者と障害者が関わりあいをもてるような環境作りは啓蒙を深めるためには必要な施策です。

—「障害者と健常者の共生」についてどのように思いますか?

森 「共生」はよく聞く言葉ですが、言葉のようには上手くいくものではありません。社会福祉に接する人でなければ障害者と接する機会はかなり限定されるのが実情です。自分から何らかの目的や意図をもって接しない限り、障害者の置かれている環境が大きく変わることもないでしょう。

しかし、環境の大きな変化が無いなかでも、障害者を含めたコミュニティーや地域社会のあり方は問われています。国や行政の「障害者福祉施策」では、そのような地域社会を目指していますから、多くの方がこれらの政策に関心をもち行動をすることが必要ではないかと思います。

—ありがとうございました。

1972年に米国ペンシルバニア州裁判所は「障害の如何を問わず、すべての子供はその能力に応じて教育を受ける権利を有する」(PARC判決)と宣言しています。これは、差別的な教育に対する是正を求めたものであり、教育のダンピング(教育の放棄)を招く危険性があることへの警告です。

内閣府の平成26年度障害者雇用状況によれば日本における障害者数は、身体障害者366.3万人(人口千人当たり29人)、知的障害者54.7万人(同4人)、精神障害者320.1万人(同25人)であり、国民の6%が何らかの障害を有するとしています。障害者政策は私たちにとって喫緊の課題でもあるのです。

尾藤克之
経営コンサルタント/ジャーナリスト

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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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