圧倒するチャレンジ

2015年11月13日 10:22

三菱航空機の国産飛行機、MRJの初飛行が成功し、大きな喜びに包まれています。思えばYS11にかつて、ずいぶん乗ったのですが、航行高度が低く、日本の街並みが窓越しに良く見えたのは幼い時ながらよく覚えています。それ以来となるメードインジャパンの飛行機に対する潜在需要は極めて高く、リージョナルジェットではブラジルのエンブラエルとカナダのボンバルディアとの争いとなりますが、下馬評は高いようです。期待したいですね。

誰もなしえないモノを作り出す、というのは大きな試練でありますが、それを乗り越えた時、大きな果実を伴います。三菱航空機もこの初飛行を5度も延期したわけで、その間の苦痛と苦悩は想像に難くありません。

起業家や企業家は常に成長と改革と挑戦を考えています。ところが一旦成功するとその足を止めてしまうケースが多いのも特徴です。企業の経営者の場合には一定期間で人事ローテーションがあり、社長も創業者系ではない限り6-8年程度で交代し、新しいブラッドが入り込み、前任者を否定し、新たなる改革をします。この「前任者否定」というのは必ずしも「嫌な奴」「あいつを負かす」という血気盛んな話ばかりではなく、6-8年の間に変わったであろう世の中の動きを刷新するという意味でもあります。今の時代はもっと早く動きますので社長在任期間ももっと短くなってしまうのでしょうか?

三越伊勢丹の大西洋氏が社長に就任した際、バーゲンセールのタイミングについて他の百貨店がそれをどんどん前倒しし、シーズン盛りに安売りをやっていたことに一石を投じました。初めのころは正に孤軍奮闘でありましたが、数年たってずいぶん「正常化」した気がします。その頃は百貨店の売り上げがどんどん下がり、その存亡すら問われていた時です。百貨店とは何か、それを正面からとらえて正しい道筋をつけたという意味で素晴らしい英断だったと思います。

私の友人に食の世界に於いて圧倒している人がいます。彼はもともとはネットワークビジネス系の人で自分を主人公に仕立てた小説が最近文庫版として書店で平積みになっています。その彼が六本木近くで小さな寿司屋をプロデュースした際、一流の寿司職人と酢飯のこだわり方で大ゲンカします。結局、ネタに合わせて酢飯を二種類用意するという妥協を許さない姿勢は開店1年ぐらいから突如開花します。当時、某国家主席が家族でお忍びでやってきたとも聞いています。その後、彼は台湾にビジネス拠点を移し、破竹の勢いで日本食ビジネスを展開しています。その店があまりの人気と予約で台湾の元総統(首相)の予約依頼を何度も断ったと本人から聞いています。

これらのケースをみると共通するのは新たなるチャレンジを始めてすぐに花が咲く人は誰もいない、ということです。上述の友人の場合も六本木の寿司店について「一年目に消費税の還付があってそれでキャッシュフローが一息ついた」と述べていたのを覚えています。皆、耐え忍び、我慢してそのチャンスがくると信じ、努力しているのです。

最近、ネットビジネスなどでいとも簡単に成功する例を聞き、「自分も」と起業してもうまくいかず、辞めてしまう人が後を絶ちません。あるいはマネーという引力で自分が何をしたいのか分からなくなってしまっている人もいます。

一流のビジネスパーソンは決してマネーではありません。自分で最高のモノを顧客に提供し、喜んでもらうこと以外何ものでもありません。国産の飛行機を飛ばす、百貨店を救う、最高の食を提供する…といったこだわりを極めるころにマネーがついてきた、ということではないでしょうか?

今世紀に入りノーベル賞を受賞する日本人が増えたということに以前触れました。この方々もその世界に没入することで成しえたわけでノーベル賞が欲しくて研究した人はいないでしょう。

日本は世界でも有数の裕福な国であります。しかし、現役世代がその富に寄りかかってばかりいるのはどうなのでしょうか?私はストイックという言葉が好きです。私自身、生活を含め、質素にしているのですが、それは自分をハングリーな状態に保つことで行動へのエキスとしているとも言えそうです。

私の会社の従業員で最近、ハングリーさを感じる日本の若者が増えてきて嬉しく思います。目的意識をもって外国にきて日々を一生懸命過ごし、経験を積み上げている若者が再び増えていくことに期待したいところです。

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 11月13日付より

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