新卒採用はステマである

2015年11月14日 07:00
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採用またスケジュールが変更になりました。前回の解禁日変更は、学生が休み期間中に集中して就活ができるよう配慮したものでした。しかし、計画通りに採用ができないことを危惧した企業が、例年よりかなり早く採用活動を開始したケースも散見し結果的には長期化につながりました。

内々定に関しても、今年の就活(2016年卒)に関してはスケジュールが守られることはありませんでした。8月選考解禁としながらも、6~7月の数ヶ月前には内々定を出す企業が多かったからです。

●ステマとは古典的手法である

実はステマは古典的な手法です。「やらせ」「おとり」などもこれに該当し欧米諸国では消費者保護の観点から過度なステマは禁止されています。ところが通販やネット商材は、ステマを利用していることが少なくありません。

<よくあるケース>

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しかし、最近、ステマが目につくのは、なにも通販やネット商材の世界だけではありません。就活(採用)における、ステマが増えているように思います。例えば、就活(採用)レポートなどがそれに該当します。

人気企業ランキングなどはその最たるものでしょう。採用ホームページランキング、入社案内ランキング、説明会ランキング。ソースを見ると、自社サイトの登録者に対してリサーチをかけたとありますが、登録内容は自己申告です。本人確認ができませんから対象ソースを信頼することはできません。レポートを読むと、自社のサービスを利用しているお客様が上位にランキングされていることがよくわかります。

以前、就活事業を展開している数社に対して、レポートに明らかな疑問があったので質問をしたことがあります。「ソースはなんですか?有意性分析や、T検定はされていますか?」。運よく数社の分析担当者と話すことができましたが、有意性分析などは施されていませんでした。

●有意性とはなにか

A君とB君が100回腕相撲をしました。勝負はA君の55勝45敗でした。A君はB君に対して「俺のほうが腕相撲が強いな」と言いました。B君は「こんなのは体調やコンディションでバラつきが出るものだ」と一歩も引きません。A君は「そのバラつきって何パーセントだよ」と聞きました。

残念ながら、統計学では55勝45敗では有意水準にはなりません。5%未満で実力差を認めるのが通例になっています。95勝5敗ですからかなりの勝ちっぷりですが、この5%を有意水準といいます。5%未満であれば「実力差有りと認める」ということになります。

人気企業ランキングは母集団に対して、何らかの回答をさせて集計し優劣を決めています。有意性などを認めていれば客観的指標となり興味深いデータとなりますが、現状は母集団が多い企業が上位になる傾向があります。これでは恣意的に操作ができますから合理性を欠いています。

●そろそろ建前ではなく本音を

経団連が解禁日変更などの申し合わせをしても、結果的に守られることはありません。企業は厳選採用をよそおい、学生は意中の企業から内定がとれれば躊躇無く内定辞退をします。企業にとっても計画通りに採用ができなければ死活問題です。「終わハラ」などという言葉もありますが、採用担当者が計画通りに職務を遂行するのは至極当然のことでしょう。

また以前から申し上げていますが、倫理憲章には罰則規定があるわけではありません。解釈や運用方法も各企業に委ねられています。つまり、倫理憲章を遵守する会社ほど割を食うということです。数ヶ月早めたり後ろ倒しにしたところで、何かが大きく変わるものでもありません。もはや建前ではなく本音の議論が必要ではないでしょうか。

尾藤克之
経営コンサルタント

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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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