日本の子どもが数学のできない理由

2015年11月16日 14:21

小学校の算数は、数学の基礎だ。と思われている方は、認識を改めた方がいい。

小学校の算数の授業は、国語の授業だからである。で、国語の授業は何をやっているかというと、道徳の授業なのである。もちろん、道徳の授業は道徳の事業をやっている。道徳オリエンテッドな学校教育である。残念だが。

さて、では算数でどんな授業が展開されているかというのをみなさんにご紹介したい。これはわたしの勤めている学校の2年生の学年主任(校長からは絶大の信頼を勝ち取っている人)の授業の様子だ。

2年生の算数のハイライトといえば、もちろん九九である。この九九をめぐって、こんな授業が行われている。(おそらくこれが平均的な進め方である)まず、子どもたちにこういう質問をするのだ。

①5×2の計算の問題を考えましょう。
②2×5の計算の問題を考えましょう。

子どもたちの頭の中は??????になる。

正解はたとえば

①鉛筆5本ずつを2人に上げます。全部で何本いりますか。
②鉛筆2本ずつを5人に上げます。全部で何本いりますか。

とならなくてはならない。

5×2と2×5はまったくちがうということになってしまうのだ。理科系の人間のわたしには、ここにこだわる理由がまったくわからない。もしかしたら、すごく算数教育的な意味があるのかもしれないが、さらに罪深いことに、これは小学校2年生にはぎゃくにわかりにくい説明になってしまう。

5×2と2×5も交換法則で同じでいいではないか。と思う私は圧倒的少数派で、これにこだわりを見せて数時間もかけてこれをできるようにするのだが、子どもたちはますます混乱をおぼえるのである。そんな説明しないで、九九を覚えさせた方がいいのでは。

そして子どもたちは、この5×2と2×5のちがいをノートに言葉で説明しなくてはならない。これは算数は直感的にできても、国語がちょっと苦手な子どもにはかなり負担である。だいたい算数の言語は、国語よりも数学的記述においてはすぐれているはずである。

しかし、これが日本の小学校ではオーソドックスなのである。

わたしはこのような教え方では、これでは数学の才能をスポイルしてしまうのではないかと危惧しているのだが、みなさんはどう思うであろうか。

ちなみに、こういうことから離れてるので数学になると、楽しいと思うようになる子どもも少なからずいる。しかし、そこまでに脱落してしまう子どもを大量に作っていることに、わたしは危機感をおぼえるのだが。
それにしても、この算数の説明はわかりにくすぎないだろうか。これは、九九に限らず、小学校の文系先生たちの教える算数教育の大問題なのだとわたしは思っている。

中沢 良平(小学校教師)
中沢良平ブログ

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