祖国を捨てた二人の中国人

2015年11月20日 15:37

祖国を捨てた二人の中国人の本を紹介することにする。尚「祖国を捨てた」とは祖国に愛想をつかし中国籍を捨て日本に帰化したという意味。

先ず「私はなぜ中国を捨てたか石平著 WAC社
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石平氏は四川省成都出身。文革が終息した後1980年北京大学哲学科入学。1988年四川省の大学助手時代に神戸大学に留学(彼はこの時26歳にして初めて日本語をアイウエオから学び本書を日本語で書くほど熟達したのだから飛び抜けて優秀だったことがわかる)。彼は日本で在日中国人留学生と連携して祖国の民主化運動を支援。1989年6月4日の天安門事件は日本で知る。この事件で彼は幾人もの友人を失う。民主化運動を弾圧した中国共産党への絶望が深まりやがて祖国を捨てることになる(2007年日本に帰化)。
この本の中から特に印象に残った部分を紹介しよう。青字が引用部分 

中国の反日教育について
 2000年8月、夏休みを利用して四川省の実家に帰省した時のことである。大学一年生の甥が遊びにきた。日本からおみやげを買ってこなかったので財布から100元札数枚を出して小遣いとして彼に遣ろうとした。しかし意外なことに彼は「要らない」と言って下を向いた。「何だ、お前はお金が嫌いなのか」とからかった。「いや違う。だって叔父さんのお金は日本人からもらった給料だろう。そんなお金ぼく要らない」。それを聞いて私は言葉を失った。「もう一人の反日青年の誕生か」と心の中でつぶやいた。

反日教育の目的は、民主化運動弾圧、貧富の格差、役人の腐敗等で共産党支配の正統性が大いに損なわれたので、日本と戦った共産党の栄光の歴史を思い出させ「日本軍国主義の侵略」を思い出させて国民の支持を繋ぎとめるためだと著者は解釈する。

日本の論語研究について
金谷治、宇野哲人、諸橋轍次、吉川幸次郎、岡田武彦等の論語に関する本を読みあさり日本の論語研究の広さ、深さに驚嘆する。

日本人の「やさしさ」について
著者は日本語の中で「やさしい」が好きだがこれにぴったりの中国語がないので中国人同士中国語で話す時でも「やさしい」だけは日本語になる。

私も日本語の分る中国人と話す時、中国語の辞書に「みっともない、はしたない、世間体」に相当する言葉がないとからかうことが多かった。

次に「中国人民に告ぐ金文学著 祥伝社黄金文庫
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著者は東北(旧満洲)生まれの朝鮮系中国人で日本に帰化している。東北特に吉林省には朝鮮族が多い。以下一部を抜粋する。
「徳と礼儀」の国はどこに行った
 公衆秩序意識と礼儀のない中国人の姿は「バス乗車戦争」に最も象徴的に表れている。そもそも中国人はバスに乗る時列に並ぶということをしない。バスが停車するや否や老若男女が蜂の群のように乗降口に一斉に押し寄せるのであっちこっちで悲鳴や叫び声が上がる。上海ではある女性が座席を取ろうとして抱いていた赤ん坊を車窓から投げ入れその子が死亡する事故まで起きたほどだ。

1998年北京図書館でのこと。雑誌閲覧室で資料を探すために雑誌を捲っていると何と50箇所以上にわたってカッターで切り取った後があった。

私も上海図書館にはよく行った。そこでは大きなカバンの持ち込みができない。過去よほど盗みが多かったのだろう。

青木亮

英語中国語翻訳者

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