ストレスチェックは「うつ病社員のあぶり出しに使え」

2015年12月07日 14:38

ストレスチェックを義務付ける制度が2015年12月1日に施行されました。メンタルヘルスへの関心が高まるなか、愛知県に事務所を構える社会保険労務士のブログ記事に注目が集まっています。

●社労士とは思えない発言

ブログ記事はQ&A方式で回答していますが、特筆すべき記事をいくつか抜粋引用します。Qの多くは、うつ病社員にダメージを与えることに対してのものが多いので、A(社労士の意見)のみ紹介します。

A まずバツを与えるべき根拠を就業規則に盛り込みましょう。「就業時間中の喫煙の禁止」「上司に文句を言うことの禁止」「遅刻の禁止」。適切合法なパワハラを行ってください。適切にして強烈な合法パワハラ与えましょう。

A うつ状態というのは自分を責める病気なので、後悔の量が多ければ多いほど(過去に否定的な執着する程)発症し易いです。次にモンスター社員に降格減給、与えて経済的にダメージ与えます。適切な理由でっち上げましょう

A 本人が自殺したとしても、うつの原因と死亡の結果の相当因果関係を否定する証拠を作っておくことです。なぜなら因果関係の立証は原告側にあり、それを否定する証拠を作成しておくことは、会社の帰責事由を否定することになるからです。したがってそれができればうつ病自殺されても裁判で負けることはありません。モンスター社員に精神的打撃与えることが楽しくなりますよ。

A 精神疾患、うつ病は労働能力に瑕疵、きずのある状態です。会社としては労務提供が不完全であるか否かを調査する権限と同時に義務があります。したがって応募者にきちんと申告してもらいましょう。それが嘘だった場合には、経歴病歴詐称で解雇しても問題ないでしょう。現実にうつ病既往者は8割から9割の確率で再発します。労働力としては欠陥です。使い物になりません。リスクを会社は負うことになります。

~以上、社労士ブログから抜粋

この社会保険労務士は社員の首切り支援と組合(ユニオン)つぶしが看板サービスのようです。極めて非常識で品位に欠ける社会保険労務士としては不適切な発言であると考えられます。騒ぎが大きくなった影響も有り時時点では記事は削除されています(キャッシュで過去記事が確認できます)。

「合法パワハラという不適切発言」 「適切な理由でっち上げ」「自殺をしても問題ない」「ダメージを与えることが楽しい」「精神疾患、うつ病は労働能力に瑕疵、きずのある状態」との多々発言。かなりのいきすぎを否めません。

●社労士の役割とはなにか

社会保険労務士法第一条では、その目的を「この法律は、社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適正を図り、もつて労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする」と定められています。社会保険労務士連合会のHPにおいても、企業の健全な発展・労働者の福祉の向上をうたっています。

厚労省は「労働者の心の健康の保持増進のための指針」のなかでストレスチェックの目的を以下に定めています。

1.職場のメンタルヘルス対策は、精神障害の労災認定件数が3年連続で過去最高を更新するなど深刻な状況。
2.メンタルヘルス不調の未然防止のためには、職場環境の改善等により心理的負担を軽減させること(職場環境改善)労働者のストレスマネジメントの向上を促すこと(セルフケア)が重要。
3.このため、ストレスチェック制度を設け、労働者の心理的な負担の程度を把握し、セルフケアや、職場環境の改善につなげ、メンタルヘルス不調の未然防止のための取組(一次予防)を強化する。

厚労省は、企業内で働きやすい環境を整えることを目的としてストレスチェックを施行しました。しかし、理解が深まっていないため、人事上のなんらかの不利益を被るのではないか、面接指導を希望をすれば、会社からは要注意者として認識されるのではないかといった不安も蔓延しています。そのため、解釈や運用においては細心の注意が必要とされています。

ただでさえ、解釈が一致せず、理解も深まっていないストレスチェック。本来は社員の働きやすさを意識した施策ですから、このような非常識な発言は慎むべきでしょう。正しい理解が深まることを願わずにはいられません。

尾藤克之
経営コンサルタント

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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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