社会部記者がバカだから区議会がアホをやらかす

2015年12月11日 18:30

どうも新田です。その昔、某有名学者が講演先で「地方に出張行ったら痴呆症になっちゃったよ」と、今なら炎上必至なダジャレをぶちかました話に失笑したものですが、おときた都議のエントリーで東京・千代田区で政務活動費を議員報酬に「付け替え」しようと画策する動きがあった話なぞを聞くと、仮に誰かが千代田区議会を“痴呆議会”とdisったとしても、まあ、たぶん頷きますね。

※報道機関の「機能不全」が区政・区議会のやり放題につながる(写真はイメージ、アゴラ編集部)
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封建的芸能を炸裂させる都心部の区議会


千代田区長や区議会のセンセ方には、「それが当たり前と思うなら、同じことを去年の今頃の議会で通せましたか?」とお尋ねしてみたいものですね。「んなもん、無理ゲーに決まってんだろう」と逆ギレでしょうね。そりゃ4ヶ月後(つまり今年4月)に区議選がありましたからね。23区、それも都心部の区議会に関しては今時ド田舎の市議会でもやらないような封建的芸能を炸裂させておりまして、港区議会に至っては、まさに昨年の今頃、私が東洋経済オンラインに書きましたように、当時の議長が自分と会派(≒所属政党)の違う議員に対してまで、メディアの取材を受けた場合にはその内容を報告するように求めたこともありました(現在は取りやめ)。こんなもの実質的な言論統制の圧力を生むのは中学生でも分かる理屈なはずなんですが、「あれは取材制限ではない(キリッ)」と開き直るばかりか、前議長が所属する自民党の区議団が区民に配ったチラシには、媒体名は匿名ながら「インターネットを媒体としたニュースメディアが事実と異なる報道を行った」と書いている様に呆れかえります。

記者たちの区政監視が「バカ」になる理由


今回の1件は、毎日社会部の青島記者が掘り起こしたぽいんですが、区政・区議会に関する「告発記事」はどうも散発的です。そもそも、都心部の区議会が公然と“アホ”をやらかせてしまう主な原因の一つは、何度も書きました様に、それをヲチすべきマスコミの存在感が、ハゲねたを売りにするM-1王者、トレンディエンジェルの髪の毛よりも薄いからなんですね。

もう少し構造を説明すると、23区はマスコミ各社の本社があるから常に記者が取材している印象がありますが、本社のお膝元だけに「灯台下暗し」。

多くの新聞社では、区政ヲチは本社社会部の都内版(23区の地域版)に所属する区政担当記者がやっているわけですが、少ない人数で複数の区を掛け持ちしているわ、多くは社会部内のサツ回りやった記者たちの“休憩”や次の激務部署(警視庁クラブ、司法クラブ等)に異動するまでの腰掛けで、3か月から半年くらいで異動することも当たり前。そりゃ人脈も深くはできないし、当然入ってくる情報の質も量も落ちるわけです。おまけに新聞社によっては、地域版のメイン記事はおカタい区政記事よりも、「○○区在住の90歳の××さんが初めて画集を出しました、すごいですね」という話題記事の方が扱いがいいし、そっちの方が読まれるのも事実。そろそろ正月紙面の企画づくりも始まっている頃ですが、ますます区議会の取材に行く時間がなくなります。

区政・区議会取材では出世できない


最近も民泊や村上世彰氏に関する社会部記者の取材システムを批判する記事を書いて、社会部記者界隈では、すげえ不評だったらしいんですが、自分たちで気づいていても会社に言えない構造的問題点を私が代弁して差し上げたんですよ、まったく(怒)。

今回も「バカ」だと批評しているのはシステムであって、人格や能力を否定しているわけじゃありません。身も蓋もない話をすると、社会部の記者はどちらかというと事件や不祥事を狩る直情径行の“猟犬”として育成されているので、政策や議会・行政システムといった積み上げのシステムを考察、分析する“頭脳派”は少数派なんですよ。新聞社のカルチャーで程度の差はあるものの、当然、出世したいと思ったら、警視庁や特捜部の事件取材で名を上げなきゃいけないので、区役所や区議会のことをバリバリ取材するインセンティブが働きません。

監視される側からも懸念の意見


当然のことながら、この手の構造は区議会議員の方々も熟知しています。それをいいことに確信犯的にアホをやらかす主流派もいるわけですが、実は、監視される側の一人であるはずの議員さんからも心ある方々から懸念する意見も私には寄せられています

まあ、大体は区政野党のリベラル系会派に所属されている方がほとんどなのですが(そりゃそうだ、笑)、時折、区議会ヲチのための新しいメディアやシステムづくりの必要はもちろん、ある区の若手区議からは具体的なビジネスモデルのご相談を受けたりすることもありました。メディアビジネスの難しさは今まさに私も体験しているわけですが、オリンピック開催後2020年以降、都心部の人口は地方ほどではないものの緩やかに減少していくし、高齢化も著しい。国の財政危機もあって区政の効率的運用はさけられないわけで、区政報道の根本的な見直しも必要に感じます。

税金の無駄使いを改めさせるための「ダメだし」(監視)、区政や区議会を創意的にして仕向けていくための「ポジだし」(政策提言)をするシステムをなんとか構築できないか。どなたかビジネス経験のあるソーシャルアントレプレナーいませんか、応援しますよ。
ではでは。


新田 哲史
アゴラ編集長/ソーシャルアナリスト
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アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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