日本のインド戦略

2015年12月15日 10:24

安倍首相がインドを訪問し、インドで新幹線方式による高速鉄道計画が決まりました。50年償還、金利0.1%と破格の条件だとされていますが、この一歩は大きかったと思います。ムンバイとアーメダバードを結ぶ500キロの総事業費は1兆8000億円となりますが、それ以外にも原発から防衛までを含む広範囲な連携を確認しました。

正直申し上げると前回インドネシアで新幹線方式を取り逃がしたのは悔しかったのですが、インドに集中的な包括関係を結べる展開になった方が正解であった気がします。

まず、新幹線方式の建設ですが、唯一の例である台湾新幹線建設の場合、当時、日本のゼネコンを中心に日系企業が幅を利かせました。ただ、極度の人材不足でとにかく、海外で使える建設関係の人材が根こそぎ台湾に持っていかれたことはあまり知られていないと思います。逆に言うとただでさえ国内の建設マネージメントの人材が不足している中でインドで新幹線方式の建設が出来るゼネコンの社員のやりくりは相当苦戦すると想定されます。よって、インドネシアと両方受注していたら正直、パンクしていた可能性があります。更に、日本の新幹線受注は本命がアメリカ本土、特にワシントン-ボルチモアを足掛かりにする構想があります。そちらへの余力も必要となるのです。

原発については、ふと思ったのですが、安倍首相が東芝をやけにかばったのはこのインドの件があったからではないかという気がしてきました。原発事業に関する日本の代表的企業といえば東芝/ウエスチングハウス、日立、三菱重工です。その中で日立は鉄道部門で英国を中心に好調、重工は中型国産機開発の目途がついたという良いニュースが展開される中、東芝だけはどん底で喘いでいます。仮に原発事業の話になれば東芝/ウエスチングハウスは総合力では世界で戦える力を持っているだけに温存しておきたかったのでしょうか?

インドは歴史的に中国とあまりしっくりきていません。国境問題だけなのでしょうか?今後、研究してみますが、多分、民族的折り合いも悪いような気がします。よって、中国からインドへの直接投資も2013年でわずか8000万ドル程度と極めて低く、今後も急増する見込みはあまりないとみられています。その点からすれば日本とインドの関係は相当強化できる環境にあると言え、将来的に明るい展望があると考えています。

インド人は物事を非常にフェアに見る人も多い気がします。特に多くの方の記憶にあると思いますが、東京裁判で「平和に対する罪と人道に対する罪は事後法であり、無効だ」とするインド人判事、パール氏が印象的でした。日本人にはとっつきにくいイメージもありますが、理解を深めていけばそんなこともないと思います。私の周りにもインド人の方はずいぶんいますが、一緒に仕事をしてもお客さんとしても嫌な経験は今のところありません。

インドは2030年代に中国の人口を抜くとされています。その後も驚異的な人口増が想定されていますが、逆にインフラ開発と経済振興を急ぎ、中流層を増やすことで人口増のブレーキを踏み込むことを促すべきでしょう。経済の進歩に伴って出生率は基本的に下がります。現在の人口想定予想は経済成長ファクターの組み込みが十分ではないと思いますので日本がどこまでサポートできるかが地球ベースの人口問題の解決にも役立つということになります。

また、インドはアフリカ諸国へのアプローチもよく、日本企業にとってまだまだ未開であるアフリカ開発をインドと提携してやっていくことは戦略的にメリットがあるのではないかと思います。

極端な話をすれば日本がアメリカと持つ強い同盟意識と同様のものを日本が率先してインドと共に育む番がやってきたともいえます。つまり、50年先を見越した関係を作り上げるというビジョンがたつ最後の巨大国家だと言ってよいでしょう。

今後の日印の成長的関係に期待したいと思います。

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 12月15日付より

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