原子力発電・メディアの責任を問う【シンポ報告2】

2015年12月22日 01:32

GEPR編集部

アゴラ研究所とその運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクのGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)は12月8日、第4回アゴラシンポジウム「原子力報道・メディアの責任を問う」を静岡県掛川市で開催した。約250人が訪れ、ネット放送された。

写真1 アゴラシンポジウムの会場

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アゴラ研究所は、言論プラットホームアゴラ、そしてエネルギー問題の専門家の知見を集めたGEPRを運営している。静岡県は製造業が集積し、中部電力浜岡原発もあり、エネルギー・原子力問題への関心が高い。

田原総一朗(ジャーナリスト)、モーリー・ロバートソン(ジャーナリスト、ミュージシャン)、松本真由美(東京大学客員准教授、キャスター)の各氏が出演。池田信夫アゴラ研究所所長が司会を務めた。

要旨は以下の通り。

田原総一朗の見た原子力・エネルギー報道の40年【シンポジウム報告3】
「原子力・エネルギーと報道を考える」【シンポジウム報告4の1】
【4の2】
【映像版】

田原氏が見た原子力報道の問題とは?

シンポジウムは、田原総一朗氏の講演「田原総一朗の見た原子力・エネルギー報道の40年」から始まった。田原氏は1974年の原子力船むつの放射線漏洩事故のときから原子力を取材した。また東電福島原発の建設なども取材した。当時は田原氏の報道に広告代理店などが介入する圧力などもあったという。

写真2 田原総一朗氏

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写真3 池田信夫氏

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田原氏によれば、今の原子力報道は「何でも反対」「面白くない」の2点の問題がある。新聞の社論、また日本の「リベラル」という政治的立場の人たちの思想が絡みすぎ、否定的な情報しか出ない。またそうした思想が強く出ると、事実が見えてこなくなる。「主張にはリアリティが大切。そして反対は楽。だから問題が生じる。このままでは信頼を失っていく」と述べた。

その問題提起を受けて4人の討論「原子力・エネルギーと報道を考える」が始まった。

写真4 モーリー・ロバートソン氏
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写真5 松本真由美氏

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日本でキャスターなども務める才人のモーリー・ロバートソン氏は日本の福島原発事故をめぐり「日本が危険などと異常な情報が流れている」という。これはメディア報道のゆがみに加え、日本の発進力不足が影響しているそうだ。

松本氏は、科学教育、リスクコミュニケーション、メディア・リテラシーを研究しているが、「メディアが現実からずれる状況はなかなか直せない」と指摘した。新聞には社論があり、それが付加価値として読者がその新聞を買う材料になる。また新聞、テレビは影響力がネットの隆盛と共に低下しており、経営上の再編に世界的に直面していると述べた。ロバートソン氏も、「そうした弱いメディアは注目を集めようと主張が過激になるので、気をつけた方がいい」と警告した。

原子力とメディアの問題を考える題材として、参加者は静岡県にある中部電力の浜岡原子力発電所を視察できた。3人とも、22メートルの防潮堤や、を見て、その対応に感銘を受け、安全性が高まったことを確認したという。こうした情報は、既存メディアからはなかなか伝わらない。

田原氏は「今すぐに原発をやめることはあり得ない。浜岡原子力発電所は民主党の菅直人首相が思いつきで止めた場所。再稼動をするべきであると思う」と述べた。

写真6 浜岡原発の防潮堤

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エネルギー問題、冷静な議論を始める時

それではメディアの情報に、私たちはどのように向き合うべきであろうか。「信じないのも、また信じすぎるのも、今の世の中では適切ではない」と、松本氏は指摘した。「繰り返されてきたように「メディア・リテラシー、つまりメディアの発する情報を分析する力を高めることしかない」と述べている。

ロバートソン氏は「物事を複数の視点から見ることは、ジャーナリズムの基礎だが、それは受け手にも言える。基礎体力を付けて、情報を正しいかを、複数の視点から吟味する見る習慣をつけるべき」と話した。

そうした感覚を磨くのは、取材経験の長い田原氏によれば「情報や主張にリアリティ(現実感)があるか」だという。

エネルギー・原子力問題では、福島事故の衝撃が大きすぎた。それが、原子力とエネルギー政策を混乱させてしまった。「もう福島事故から4年が経過している。冷静に議論を始めるべき時だし、メディアも正確な情報を伝えるべきだ」と池田氏はまとめた。

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