誠意というパフォーマンスを駆使するには

2015年12月22日 04:51
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政治家にとって誠意のある見え方はとても大切です。例えば、ある政治家が減税を公約していたにも関わらず、当選後に撤回したとします。ところが減税が選挙公約であったとしても、選挙公約自体は「その実現のために頑張ります」と自らの方針を演説しているに過ぎません。当選後の撤回をしたところで違法にはなりません。

●公約ってなに

本来、公約や政策は実現可能の是非を様々な側面から考慮しながら、発言されなければいけません。実現不可能な公約や政策、もともとやる気のない公約や政策は発言されるべきではありません。なぜならば選挙民は、その公約や政策の実現に期待をして一票を投じるからです。このような撤回は法的に罰する規則はありませんが、選挙民にとっては裏切りと同じ行為です。

ところが政治家は当選しなければ意味がありませんから、どうしても当選しやすい餌を撒いてしまいます。餌を撒くのに費用はかからないからです。そうして選挙に当選してしまえば一定の権力を握ったのも同じです。しかし公約違反のイメージは免れませんから選挙民に不信感を抱かせないためのリカバリーをしなければいけません。

辻立ちをご存知でしょうか。辻立ちとは街頭演説のことを指します。政治家の辻立ちには目的があります。一般的には選挙民に対して自らの政策を訴える方針といわれていますが、多くの政治家は辻立ちを選挙前にしかやりません。

よって、選挙期間以外の時期に辻立ちをすれば選挙民に顔が知られることになります。顔が知られれば、親近感を持ってくれるかも知れませんし、投票の際に思い出してくれるかも知れません。知名度を上げることは、選挙に有利になることは間違いありません。

また、辻立ちの内容を殆どの通行人は聞いていません。ところが「一生懸命に頑張っている」強い印象を与えることはできます。選挙運動は「政策」を訴えるよりも「共感」を与えたほうが得策だということです。

辻立ちをすることによって「実直に政策を訴えて番場っている」という共感を得ているわけです。だれも聞いていなくても辻立ちに効果があるのはこのような理由からです。恐らく、数ヶ月毎日、辻立ちを実行すれば公約を撤回したことはみんな忘れてくれるはずです。

●重要な冠婚葬祭

政治家が極めて重視するのは選挙区の葬儀です。よって秘書のカバンの中には「白いネクタイ、黒いネクタイ、数珠、ロザリオ、白手袋、のし袋、薄文字の筆ペン、ハサミ、代読用の挨拶文」など、まるで手品師のごとく仕事道具が仕舞われています。白手袋は、葬儀の時の交通整理や、ハサミを持ってテープカットをする時に使います。代読用の挨拶文は団体の御祝い用、学校関係の御祝い用など、様々なシーンで使用できるように数パターンの祝辞を厚手の紙に印刷しています。祝辞は白い布か和紙に包んであり、会場で呼ばれたらうやうやしく取り出します。

とにかく地元の冠婚葬祭にはマメに顔を出して義理堅いところをアピールすることは重要です。地方の有権者はこのような義理堅さを覚えているからです。仮に代理であっても「あの先生は葬式に来てくれた」「娘の結婚式に来てくれた」という行動は大いに評価されるのです。

政治関係者は、普段からダーク系のスーツを着込んでいます。これには諸説がありますが、何時でも葬儀に出られるようにしているためという説があります。冠婚葬祭は人生の一大イベントです。結婚式は事前に日時を決めておくものですが、葬儀だけは突発的で予測ができません。

特に、冬は葬儀の件数が他の時期に比べて断然多くなります。各都道府県の広報資料を見れば、出生の数に対してお悔やみの数が圧倒的に多いのでその傾向が把握できます。悲しみに打ちひしがれている時のお悔やみは非常に効果があります。特に、田舎では都会とは異なり親族との付き合いも広いので、自分の選挙区で不幸があれば、葬儀に駆けつけることが当たり前のようになっています。葬儀で顔を売ることも選挙では重要な作業になりますから、葬儀参列が大切な選挙運動にもつながっています。

パフォーマンスといわれてしまえばそれまでですが、堂々と誠意をもってやればパフォーマンスがパフォーマンスを凌駕して人をひきつける技になるのです。人生を勝ち抜くうえで人をひきつけるパフォーマンスは重要です。

尾藤克之
経営コンサルタント

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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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