ギャンブラーの誤謬、適用するか否か --- 安田 佐和子

2015年12月29日 06:30

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バロンズ誌、今年の最終号はユーチューブに注目しています。ご存知グーグルもといアルファベット傘下の動画ストリーミング大手は、ネットフリックスの2倍の価値があると指摘。2015年のアメリカン・フットボール頂上戦スーパーボウルでは1億1400万人のアメリカ人が視聴し過去最高を記録したものの、ユーチューブでは赤ちゃんがお風呂でボール遊びした動画が2億4900万回も再生されるなど、勢いはとどまるとこを知りません。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが注目する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォールストリートはランダル・フォーサイス氏がお休みでビル・アルパート氏が執筆します。テーマは、新規株式公開(IPO)。以下は抄訳となります。

ギャンブラーの誤謬(gambler’s fallacy、コインの裏表が出る確率などに勝手な規則性あるいは法則性を導き信じてしまうこと)通りなら、太陽光エネルギーの銘柄も上昇に転じる可能性がある。ソーラーシティ(SCTY)とサンエディソン(SUNE)は今秋に急落したが、アパルーサ・マネジメントのデビッド・テッパー氏のように不満を覚える投資家が再編を求め、世界は化石燃料から距離を置き始めており復活の兆しが見え始めている。ただし、IPOとなればそうもいかない可能性が高い。

2013~2014年は、ITバブル以降で最大のIPO総額を記録した。2015年は打って変わって両年の3分の1に細り、ルネッサンス・キャピタルによると約170件ものIPO企業の株価のうち半数以上がIPO価格以下に。平均では、上場日の終値を15ドルも下回る。

2012年に成立したJOBS法(Jumpstart Our Business Startups Act)は上場を目指す新興企業の財務情報など開示義務を軽減させており、今月開かれた公聴会ではバイオテクノロジー企業を中心に一段の簡素化を求めたものだ。同法案のおかげでウェラブル・カメラ製造のゴープロ(GPRO)、レストラン出前サービスのグラブハブ(GRUB)など注目企業が上場を果たした。もっともフロリダ大学のジェイ・リッター教授(金融)によると、30年以上にわたりIPO企業の株価は競合を年間で2~3%下回り投資家の失望を招いて来たという。年間の売上高が10億ドルを超えるIPO企業は2014年までに3年間にわたってプラスのリターンを遂げてきたが、小型株になるとそうもいかない。10億ドル以下の場合、94%が3年間で株価は平均20%落ち込んでいた。IPOの美酒に酔えるのは、上場日だけとなってしまいそうだ。

ニューヨーク取引所、2015年のIPO額は低調。
ipo
(出所:NYSE

ストリートワイズは、米連邦公開市場委員会(FOMC)が12月15~16日に利上げした後の勝ち組と負け組を教えてくれる。ボブ・ディランが1965年、ニューポート・フォーク・フェスティバルで初めてエレクトリック・ギターを用い新たな時代の幕開けを宣言したように、FOMCは9年半ぶりの利上げに踏み切った。同時にチープ・マネーに幕引きし、マーケット・フィールド・アセット・マネジメントのマイケル・ショール最高経営責任者(CEO)は「メディア関連に打撃」と説く。これまでTV番組や映画の制作に大金を投じてきたが、過剰供給でコンテンツの価値は失われてしまったため、同セクターは「脆弱」だという。

2014年に36万件と過去20年間で最高を記録した複合住宅のほか、新薬がうなぎのぼりでバイオテクノロジー企業ですら安泰とは言えない。

Fedの引き締め局面では、現金保有高が大きな企業こそ注目だ。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのサビタ・スブラマニアン米株ストラテジストは「健全なバランスシートを有し自社で資金繰りが可能な企業は再評価され、債務超過の企業に打撃が及ぶ」と見込む。流動性の面でも小型株より大型株のメリットが大きく、2016年は大型優良株の年となりうる。

——年末なので、2015年の振り返りかと思いきや案外あっさりとした構成でした。COP21もあって、再生可能エネルギーに再び注目が集まる期待があるとはいえ、2016年も原油動向がマーケットのカギを握るのでしょう。2016年はFedの追加利上げをにらみ、リスク資産への資金流入が縮小するのか。あるいは安定的な成長を牽引役にリスク・オン相場を演出できるのか。少なくとも、2016年はまだまだ高いボラティリティに直面しそうです。

(カバー写真:Scott Beale/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年12月27日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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