仕事が原因のストレスは会社の責任で無くすべきである

2016年01月06日 06:00
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インタビューに答える岡田氏。

内閣府の調査によれば、平成26年中における自殺者の総数は25,427人と公表されています。若干の減少傾向にあるともいわれていますが、年間に約3万人が自ら命を絶つという現実が存在します。

3万人と仮定すれば、毎日80人弱が自らの命を絶っていることになります。予備軍を含めたら何倍にもなるでしょう。これらを予防する目的として導入されたストレスチェックには大きな社会的意義があると考えられます。

「業種を問わず使用労働者数が50人以上の事業場では、衛生委員会を設置しなければなりません。 また業種によっては安全委員会を設置しなければなりません。ストレスチェック導入の機会に各委員会が機能しているか検証してみては如何でしょうか」と、YSメンタルヘルスの岡田基良社長は指摘します。今回は、運用上の課題について伺いました。

●ストレスを軽減させるためのプランを用意すべきである

—ストレスチェックは理解に時間がかかりそうですが?

岡田基良(以下、岡田) ストレスチェックに関して様々な意見があることは間違いありません。それだけ関心の高さを表しているのではないでしょうか。

ストレスチェックに関しては施行前から対策を講じている企業が多く存在します。先行事例として対策方法に関する情報を入手したら良いと思われます。専門誌やネット記事にストレスチェックのケースとして紹介されていますから、情報の入手自体は難しくはありません。

また、ストレスの種類や原因は多様ですが、少なくとも仕事が原因のストレスは会社の責任で軽減させるべきではないかと思われます。仕事の疲れは蓄積してストレスになる危険性があるので、会社が休憩時間を定期的にとって習慣づけることが必要です。

—具体的にはどのような施策がありますか?

岡田 例えば、アフタヌーンティーなどのティータイムを設定することで適度なメリハリをつけることができます。イギリスでは、戦時中でもティータイムを欠かさなかったという逸話が残っています。バトル・オブ・ブリテンの時、ドイツ軍の爆撃機が襲来している最中でもロンドンでは防空壕のなかでティータイムを取っていました。紅茶には必ずお茶うけが付いてきます。プディング、ビスケット、チョコレートなどのお菓子は定番でした。

ティータイムには、ホッと一息つけるリラックス効果があり、忙しいからこそ、ゆっくりとお茶を飲みながらリラックスできる時間が大切にされているのです。会社がティータイムの効能を理解して、社員にティータイムグッズを配ったり、お菓子などの軽食類を無償配布することで、会社の明確な姿勢を社員に伝えることができます。

ティータイム以外では、仮眠の時間を取ることも効果的といわれています。会社として仕事が原因のストレスを軽減させるためのプランが求められているのです。施策自体は決して難しいものではなく、すぐに実行できるものが沢山あります。職場の環境に照射して導入を検討してみては如何でしょうか。

●ストレスチェックの機能化には会社の理解が必要である

—施行後1ヶ月が経ちましたが変わってきたことはありますか?

岡田 従来、労働者が自らが精神疾患である事実を話す環境は整っていませんでした。自殺についても遺族が労災請求をする道は限られていました。労災保険法には、労働者が故意に起こした事故については給付しないことが明記されているからです。

これに一石を投じたのが過労死裁判であり、自殺者が減らないという現実でした。その観点から考えれば、ストレスチェックの義務化は時代の流れでもあり、これまでの変遷をたどれば極めて意義が高いことが理解できるはずです。

厚労省はストレスが高いということを本人に「気づかせる」ことが、メンタル疾患の予防につながると指摘しています。今後、ストレスチェックを運用するなかで、ストレスが会社組織において様々な影響を与えていることが分かってくると思います。

—組織に影響を与える要因としてなにがありますか?

岡田 例えば、パワハラ上司の存在があると思います。パワハラ上司が多くマネジメントがともなわない部署は、メンタル不調者が多かったり、離職率が高く、業績も低迷しているなど何らかの問題を抱えているものです。これらの原因を把握するだけでも、結果に対する処方が明らかになります。

また、自社にとって望ましい運用方法やルールを確立させることも大切です。会社や組織によって風土はまったく異なりますから、実効性が高い施策を選択しなければいけません。労働者に寄り添いながら、丁寧に働きかけて相互理解が高まれば精神疾患は予防できるものと考えています。

—ありがとうございました。

ストレスチェックの解釈には未だ温度差があり、義務化には至ったものの戸惑いが感じられます。各社の努力によって理解度が促進されることを期待しますが、まずは安全衛生委員会のあり方を検証してみては如何でしょうか。

尾藤克之
経営コンサルタント/ジャーナリスト

尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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