どうした、中国の市場管理能力

中国には海外に留学する高学歴の秀才も多く、市場の管理能力も胸を張れるほど十分高いはずではなかったのでしょうか?夏に引き続き、新春早々引き起こしている市場の混乱は人災と言ってもよいかもしれません。

株と為替の両面での下落が止まりません。特に株式市場では取り入れたばかりのサーキットブレーカーが4日で2回、しかも2回目に於いては市場が開いていたのは初めの12分と再開後の1分の合計13分であります。特に5%の下落再開後、1分で再度サーキットブレーカーがかかっている点に注目です。日経平均で2%と言えば360円ぐらいを1分で下げればそれはもはやフリーフォール以外の何物でもありません。

上海市場の特徴はほとんどが国内投資家に占められている点でしょう。そこに群がる人々は噂の噂で売買をするため、株式を売り買いするのではなく、「株価」を売買しているようなものあります。それはマカオのギャンブルと同じ感覚でトランプの絵札に会社の名前が書いてあるゲームのようなものでしょう。儲かったか損したか、という視点のみで、本来の株式の健全な育成がないとも言えます。

日本でも堀江、村上氏が名をはせた2000年代初頭はIPOや株式分割、更には経営陣への株価対策を迫り、株価を高くし、時価総額を引き上げることで株主や経営陣が多額の利益を懐にする悪い慣習がありました。いま中国で起きているのはそれを極端にした状態だろうと想像しています。

言い換えれば株式市場の本来の意味は何処にあるかわからなくなり、パニックがパニックを引き起こす展開だということになります。それでも昨年8月の時は「中国の株式は中国国内投資家に問題が限定される」と解説され、割と斜に構える向きもありました。

今回は為替も中国元安が止まらなくなってきていることに大きな懸念が発生しています。年初の「びっくり予想」で中国元は1ドル=7元をつけるというのがありましたが、12月初めが6.4元で6日には一時6.7元台まで元安になっていますからこのままでは年初ではなく春ぐらいにはその水準に達するのではないかという気配すらあります。

これはアメリカの利上げに伴う直接的影響とされています。その上、7日には12月外貨準備が発表され、前月比で1079億ドルも減少し、3.3兆ドルとなっているようです。巨額の外貨が毎月減少しているとは何処かに資金が抜けているのではないか、という疑問もわき上がります。国外持ち出しという見方も根強く、中国人と中国政府が相反した行動をとっている可能性はありそうです。昔から成功している中国人に政府を信じている人はいない、と言われていますし、私もそう豪語する方々を知っています。

ということはいま中国で起きていることは一部の金持ちが持ち逃げを企てているということなのでしょうか?一方で国内の株式ギャンブルをした新中流層は大きく損失を出し、損失補てんを政府に真剣に迫るその姿にこっけいさすら感じてしまいます。

中国に愛国精神はなかったのか、あるいは中国で本当の産業を興そうというマインドを持った人物はいないのか、と言いたくなります。「金が全て」というスタイルは香港の出身の人たちとビジネスをしていた際に痛烈に感じたことがあります。うまく回りだすと果てしなく儲かり、逆回転すると一瞬にしてすべて失うパタンを中国本土も引き継いだということでしょう。ただ、中国が中国国内だけで問題処理できればよいのですが、影響は瞬時に地球を駆け巡ります。

世界の株式市場もぐらつき、セーフヘイブンの円は高騰を続け、金(ゴールド)は輝きを増すという常套のコースとなっています。

東京市場も新春から1日も上昇できないイライラが募る状態ですが、これには中国に漢方ではなく、即効性のある抗生物質はないのか思わず腕組みして考えてしまいます。年明け早々のこの頭痛には西洋医学の方が頼もしい気がします。

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 1月8日付より